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『しあわせーの味』 5KB 小ネタ 自業自得 嫉妬 日常模様 子ゆ 現代 マダオの小ネタです ※俺設定注意 ※作、長月です 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ しあわせーの味 「さぁにんげんさんゆっくりしないでどこかいってね!!おちびちゃんにはゆびいっぽんふれさせないよ!!」 路地裏にれいむの叫びがこだました。 生ゴミ臭いシミだらけの体を風船のように膨らませ、もみ上げをわさわさ動かして俺を威嚇している。 「あのなぁ・・・」 俺は呆れ顔でれいむを見下ろす。 言っておくが俺は虐待趣味もなればこいつの子供をどうこうするつもりもない。 この人気のない路地裏に入ってきたのだってここを抜ければ商店街へ近道になるからだ。 「どっかいくまえにおちびちゃんをなかせたいしゃりょうとしてあまあまちょうだいね!!たくさんでいいよ!!!」 俺が何も言わないので調子に乗ったのか、れいむはさらに子れいむへの慰謝料までを要求してきた。 確かにこいつの子供を蹴飛ばして泣かしたのは俺だ。 しかしそれはあの子れいむが「きょきょをとおりたかったらつーこーりょうにあみゃあみゃちょーらいね!!たくしゃんでいいよ!!」とか言って薄汚い体で俺の足にまとわりついてきたから思わず足が出ただけという話。こちらに非はない。 それなのに子れいむの泣き声を聞きつけた母れいむが俺を虐待お兄さんと決め付け、因縁ふっかけてきたのだ。 「さぁさぁ、だいじなおちびちゃんをきずつけたつみはおもいんだよ!!さっさとれいむにあまあまちょうだいね!!」 したり顔であまあまを要求するれいむに俺はピキィっときた。 そんなにガキが大事なら金庫にでも詰めて二度と出すな、と言ってやりたい。 「おいれいむ・・・そんなにおちびちゃんのことが大事か?」 「ゆゆっ!?もちろんだよ!!おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!!」 よくぞ聞いてくれましたとばかりにれいむはふんぞり返る。 「おちびちゃんをつくることこそゆっくりのすべて!!ゆんっせいでいちばんだいじなことなんだよ!!おちびちゃんがいればあまあまもふーかふかのべっどさんもいらないんだから!! ゆっくりのなかにはにんげんさんのどれいになってまであまあまやおおきなおうちをほしがるやつらもいるけどおばかさんとしかいいようがないね!!だってかいゆになったらおちびちゃんがつくれなくなるのにね。 おちびちゃんのいるれいむこそしんのゆっくり。まったくかいゆっくりってやつはおお、あわれ、あわれなやつらだよ。」 得意そうに自説をべらべらと語るれいむ。 しかしそんな薄汚いなりじゃ何言ったところで負け犬の遠吠えにしか聞こえない。 もっとも野良ゆが飼いゆに勝てる要素なんて子供を自由に作れる点ぐらいしかないのかもしれないが。 きっとれいむもそれにうすうす気づいているが必死に「自分こそ真のゆっくり」と思い込むことでなんとか自我を保っているのだろう。 全く「おお、あわれ、あわれ」な奴である。 「ああ、そうかい・・・じゃあそんなゆっくりしたれいむにあまあまさんをあげよう。」 俺はカバンから食べかけのメロンパンを出す。昼食用に買っていた奴の食べ残しだ。 「ゆ?あまあま!!」 メロンパンを見た瞬間れいむの目の色が変わる。その視線は俺の手にあるあまあまに釘付けだ。 「あまあま!!あまあま!!はやくちょーだいね!!かわいいれいむにちょーだいね!!」 涎をたらしながられいむはまくしたてる。もうあまあま以外の事は考えられないようだ。 おいおい。おちびちゃんがこの世で一番大事、おちびちゃんがいればあまあまなんていらないんじゃなかったのかよ。 俺は苦笑しながられいむにメロンパンを放り投げる。 「はふっはふぅう!!うめっ、これめっちゃうめっ!!!」 メロンパンが地面に落ちるやいなやれいむは喰らいついた。食べかすをボロボロこぼしながら、興奮の為か、もみ上げをわさわさ動かしがっついている。 「うわぁ・・・」 野良犬の方がまだ上品な餌の食い方をしているだろう。あまりに下品な食べ方に俺は眉をひそめた。 このれいむ、野良ゆだから必然的にこんな下品な食べ方になったのだろうか。 それともこんな食い方しかできないできないアホだから野良ゆになったのか。 そもそもなんで物食べるのにケツをぶりぶり振る必要があるんだろう。あにゃるにうんうんこびりついてるし。 そんなこと考えている間にメロンパンは全てれいむの腹の中に納まった。時間にして1分足らずだろうか。 「しあわせぇえええええええ!!!!」 食べ終わるとれいむは大通りにまで聞こえそうな大声で「しあわせー」をした。 コンビニで買ったメロンパンにこれほど感動できるとはなんとも安上がりな奴だ。 まあ隠し味が効いたのかもしれないが。 「しあわせー・・か。そりゃ良かったな。それじゃここ通らせてもらうぞ。」 「ゆゆ!!こんどはもっとたくさんあまあまさんもってやってきてね!!あしたでいいよ!!」 どこまでもずうずうしい奴だ。こっちはもう2度とお前の顔なんか見たくない。 だがこれぐらいゲスなほうが俺も良心が痛まなくてすむ。 俺はニヤリと口元をゆがめる。 「じゃーなーれいむ。お口の中のおちびちゃんとゆっくりしてけよ!!!」 「!!?・・・ゆ・・・・」 れいむのふてぶてしい顔が見る見るうちに青ざめていく。何か大事なことでも思い出したように。 ああ、やっぱりこいつ忘れてやがったな。 自分が子れいむを口の中に入れているのを。 ちなみにさっきこいつがあまあまをむさぼってる時、「ゆんやぁああああ!!」とか「たしゅけてぇえええ!!!」と言う声が口の中から聞こえてきたがあまあまに夢中のれいむは全く気づいていなかった。 今頃れいむの腹の中は子れいむととメロンパンがシェイク状態だろう。「おちびちゃんはままのおくちにはいってね!!ここならてっぺきっであんっぜんっだよ!!」とかほざいていたが、自分で食い殺してりゃ世話はない。 「おじびじゃああああんんんん・・・ゆげぇえええええええええ!!!!」 噴水のごとく餡子を吐き出すれいむを背に向け、俺は路地裏を後にした。 挿絵:
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『陽射しの中の…』 18KB 小ネタ 変態 現代 注意:HENTAI表現あり ※注意:この作品にはHENTAI的表現が含まれています、ご了承の上でご覧ください。 ----------------------------------------- それは幼い日の記憶。 セミの声、むせ返る空気、焼け付く陽射し。 目を閉じれば鮮やかに蘇る『彼女』との思い出。 学校というものに入ってから何度目かの夏休み。 いわゆる核家族と呼ばれる家族形式の典型だった僕の家は、子の休みなど関係なく親は働き、 少ない友人達は帰省や旅行で居なくなり、ただただ退屈な日々を過ごしていた。 そんなある日、気の向くままに訪れた公園で、僕は『彼女』と出会った。 「あれは…」 ふと木陰を見ると、鮮やかな赤の衣装に身を包んだ見慣れない女の子の姿があった。 目を閉じて木に背をもたれかけている。 全身の力を抜いているのか、投げ出したままになっている手足。 一見すると死んでいるようにも見えるその子に興味を引かれ、僕は近づいて声をかけることにした。 「ねえ、君こんなところで何してるの?」 「…」 女の子は何も答えずその大きな瞳をうっすらと開いて、こちらを見た。 「あれ…君、どこかで…?」 その顔に何故か既視感を覚え頭をひねっていると、女の子が口を開く。 「れいむはれいむだよ、どうつきさんだけど、ゆっくりだよ」 「えっ?うそ」 思わずそんな言葉が口をついて出てしまった。 それからよくよく観察すると、確かに輪郭は少し痩せているけど確かに不自然なほど丸い。 それにゆっくりれいむの特徴であるもみあげ飾りや大きなリボンもある。 けれど僕ははじめてみた時に人間の女の子だと思い込んでいたせいで、言われるまで全く気付かなかった。 「そっか、れいむはゆっくりなんだ、お散歩中?」 僕の問いかけにれいむはゆっくりと首を横に振る。 「ん~っと、あ、もしかしてあれ?ゆっくりしてたってやつ?」 またしてもれいむは首を横に振った。 「じゃあ何してたの?飼い主さんを待ってるの?」 「れいむにはかいぬしさんはいないよ、れいむはすてられたの」 ぽつりと呟くれいむの言葉に、僕は思わず息を呑んで、申し訳ない気持ちになってしまう。 けれどれいむ自信は特別気にした風もなく、ただ事実を述べたまでというような顔をしていた。 二人の間に沈黙が横たわる。 しばらくすると、ふと僕の幼心にきわめて単純な思考が発生し、僕はれいむの手を掴んで立つように促した。 れいむは面倒くさそうな表情をすると、しぶしぶ僕の行動に従って腰を上げる。 「ねえ、僕の家においでよ!れいむは野良なんでしょ?」 「でも…」 「いいから、ほら!」 僕はれいむの手を掴んだまま公園を後にし、ずんずんと家への道を進んでいった。 れいむはというと、抵抗する気力もないのか黙って僕の後をついてくる。 しばらく歩いて家に着くと、僕は慣れた手つきで家の鍵を開け、れいむを中に連れ込んだ。 そこで改めてれいむを観察すると、今まで外に居たせいか家の中に入れるのには少々汚らしい装いだった。 「まってて、今タオルもってくるから」 僕はそういって奥に入り洗面所から軽くぬらしたタオルを持ってれいむの元に戻る。 れいむはその間、ぼんやりと視線を動かして家の中を観察していた。 「おおきいおうちだね」 「そうかな?普通だと思うけど」 「まえのかいぬしさんも、そのまえのかいぬしさんも、あぱあとにすんでた」 「へえ、そうなんだ」 れいむは僕から受け取ったタオルで顔や手足を拭っていく。 人間と暮らしていた時間が長かったのだろう、身なりを整えると僕の後ろについてリビングに入り、 促されるままソファーに座り、すぐに大人しくなった。 僕の両親は家を留守にすることが多く、家を出るは早く帰るは遅い、なので子供でも簡単に飲み食い出来るものが常に備えてあった。 僕はそれをいくつか取り出して、れいむの座るソファーの前のテーブルに並べていく。 そこで初めて、ぼんやりとしていたれいむの目に力が宿るのを僕は見逃さなかった。 「今まで野良だったんだよね、おなかすいてると思って、食べなよ」 「いい…の?」 ここまで来てれいむは遠慮しているのか上目遣いに僕を見る、 けれど視線はお菓子をちらちらと見ているし、口の端には涎が溜まっているのが見えるほどだ。 「もちろん、僕も丁度おなかへってたし、一緒に食べよう」 「ありがとう!」 れいむはぱっと笑顔を咲かせると、手近にあるお菓子を手で掴んでは次々と口に運んでいった。 よっぽどお腹が減っていたのだろう、僕がその勢いに見とれていると見る見るうちに並べてあった皿の中身がなくなっていく。 4分の3程度を一気に食べ終え、最後にミルクをぐいっと飲み干し、れいむは満足そうに息をはいた。 そして急にはっとなり、恥ずかしそうに頬を染めてうつむいてしまう。 「ごめんなさい…」 「どうして謝るの?それよりお腹いっぱいになった?もっと持って来ようか」 「れいむもうおなかいっぱいしあわせーだよ、ありがとう」 「どういたしまして」 ご飯を終えた僕達は、他愛もないおしゃべりをして過ごした、といっても殆ど僕が一方的に話しかけるだけだったが。 しばらくするとれいむは股間に手をやってもじもじとはじめた。 「どうしたの?」 「あのね、れいむしーしーしたくなっちゃった」 僕の質問にれいむは恥ずかしそうに答える、なんだそんなことかと、僕がトイレの場所を教えてあげると、 れいむは一目散に駆け出していった、どうやら相当我慢していたらしい。 しばらくすると水を流す音がして、れいむがトイレから出てきた。 勢いに任せてつれてきてしまったけれど、身の回りのことを自分できちんと出来るれいむに、僕はすっかり感心してしまう。 嬉しくなった僕はれいむがゆっくりだということも忘れて二人で部屋に行き、いつも一人で遊んでいるゲーム機をセットして、 あまりやらない対戦型のゲームを起動させた。 「はい、これもって」 2プレイヤーに接続したコントローラーをれいむに渡すと、れいむは珍しいものでも見るように、 それを裏返してみたり振ってみたりして観察していた。 流石にゲームまではやったことがないらしい、それならそれでと僕はれいむにゲームの操作を含めて細かく実践を交えて説明してあげる。 するとれいむは案外と飲み込みが早く、みるみるうちに僕の言ったことを覚え、つたないながらも僕と対戦ゲームを楽しむことができた。 初めのうちは手加減しながら余裕を持っていた僕も、れいむの初心者ならではの動き、そしてだんだんと操作に慣れていくうちに歯ごたえが生まれ、 いつの間にか夢中になってれいむと二人でゲームをプレイしていた。 そして気付くといつもの間にか太陽は傾き、窓からオレンジ色の光が差し込んでいた。 「ふぅ、楽しかった、れいむは?」 僕がゲームを片付けながら聞くとれいむはこくりとうなづいた。 「あっ…」 僕が上げた声に、れいむはどうしたの?というように小首をかしげる。 けれど僕はれいむから視線をはずし、無言で片づけを続行した。 僕が見たのは、僕の片付けを眺めながら、床にぺたりと女の子座りをしているれいむのスカートのすそから伸びた、 まっしろな太ももだった。 もう少しで下着が見えてしまいそうなそれは、今まで何も考えていなかった僕に、れいむが女の子だということを強く意識させた。 まだやんちゃ盛りだった僕も、女の子に興味がなかったわけではない、意識しないようにしながらもちらちらと視線を送ってしまっていると、 れいむはそれに気付いたらしく静かにスカートの裾を整えた。 なんだか気まずい気持ちになってもう見ないようにとれいむに背を向けると、ふいにれいむが僕の背中に声をかけた。 「ねえ…」 「なに…っ!」 僕はれいむの呼びかけに振り返り、目の前の光景に驚きはっと息を呑む。 「きょうみ…あるの?」 れいむはさっきまで下ろしていたスカートの裾を指で摘み、パンツが見えてしまいそうなぎりぎりの部分まで引き上げて僕を見つめてくる。 僕は無言になってただただそのやわらかく膨らんだ太ももに目を釘付けにされてしまっていた。 するとれいむはゆっくりと座ったままスカートの裾を自らめくり上げた。 「うわっ!!」 僕は思わず声を上げて視線をそらす。 なんとれいむはパンツをはいていなかった。 「ぱぱぱ、パンツ、どうしたのさ」 僕がそっぽを向きながら早口に言うと、れいむは 「お外で汚れたからすてちゃった」 と、くすくすと笑いながら答えた。 そのなんともいえない艶っぽい声に、僕は蜜に誘われる虫のように視線をれいむに向けてしまう。 女の子らしい丸みはあるものの少し痩せた二つの太もも、その真ん中ぴったりと閉じた割れ目が僕の視線を捕らえて放さなかった。 するとれいむは突然目を細めて嬉しそうに笑い声を出した。 「ど、どうしたの?」 「それ、おおきくなってるよ」 言われて一瞬何のことが分からなかったが、指を指されてはっと僕はいつの間にかズボンを押し上げていた股間を押さえた。 「かくさなくていいよ…」 れいむは四つんばいになってゆっくりと僕に近づき、立ったままでいる僕の腰に片腕を回した。 「な…なにをっ」 そしてもう一方の手で器用に僕のズボンの止め具をはずすと、そのままパンツに手をつっこんで素早く僕のものを取り出してしまう。 「あ…むっ」 「うわわわ!!!?」 突然かちんこちんになっていた僕のものを、れいむがおおきな口を開けてぱくりと咥えた。 初めて体験するむずがゆいようなくすぐったいような感覚に、僕は思わず腰を引いた。 するとちゅるんと音を立ててれいむの口から僕のものが抜け、僕はその場にしりもちをついてしまう。 「にげないでいいんだよ」 れいむは僕の腰にすがりついたまま、再び天を仰いでいる僕のものを口に含む。 目を白黒させながら声にならない叫びを上げる僕にお構いなしに、れいむは柔らかな口の中で僕のものを縦横無尽に転がした。 れいむの大きな舌が僕のものをべろりべろりと舐め上げるたびに、腰が砕けてしまいそうな衝撃が走る。 「うううううう!!!おしっこ!おしっこでる!」 お尻の辺りからむずむずと駆け上がってくるなにかに僕が思わず声を上げると、れいむは僕を見上げてにこりと笑ってから 目を閉じて僕のものをじゅるじゅると音を立て吸い上げた。 「!!!!!」 目の前が真っ白になり、僕のものが爆発した。 瞬間どろどろとしたものがれいむの口の中に次から次へと流し込まれる。 れいむは目を閉じたままそれを躊躇いなく飲み干した。 何が起こったか分からず、ただ熱に浮かされて乱れた呼吸を整える僕のお腹の上に、れいむがゆっくりと跨った。 「つぎはもっと、よくしてあげるよ」 「え…?」 そういうとれいむはまだひくひくと動きながられいむの唾液にまみれて光っている僕のものをつかみ、ゆっくりと腰を落とした。 湿っぽい音を立てて、僕のものがやけどしそうなほど熱い何かに飲み込まれる。 「うっ…うううう!!なに!?どうなってるの!?」 れいむは僕の反応にくすくすと笑うと、怪しい視線で僕を見下ろしながら、スカートの裾を両手でつまみ上げる。 するとれいむのスカートに隠されたそこでは、さっき見た女の子の割れ目がぱっくりと開き、僕のものをくわえ込んでしまっていた。 れいむはスカートの真ん中を口で咥えると、僕のお腹に手を当ててぐりぐりと僕の股間にれいむの股間をこすりつけた。 すると僕のものは自分ではなにがなんだか分からないほどにもみくちゃにされ、強制的に暴れさせられ、僕の脳はすっかりショートしてしまう。 少しも動かないうちに、僕はさっきのどろどろをれいむの割れ目の中に流し込んでいた。 「うふふ…あったかいよ…」 れいむはお腹を押さえて僕の発射をうっとりとした表情で受け止めた。 二度目の発射が終わると、れいむは僕の腕を引きながらころりと床に横になってしまう。 上半身が起こされた僕は腕を床について、霞む視界でれいむを見つめていた。 れいむは僕の視線が自分に向いていることを確認すると、腰を持ち上げて足を開き、ぴったりと閉じた割れ目を僕に見せ付ける。 ねっとりと粘液で濡れうっすらと開くそこを、れいむは自らの指で割り開いた。 ぽっかりと空いた穴の奥からどろりとした白い液が溢れ、れいむの丸いお尻を伝って床に垂れ落ちる。 「ねえ…いれてみて…」 誘われるままふらふらと体を起こし、僕はれいむに覆いかぶさった。 「そう、そこ…あんっ!」 れいむは手を使って僕をサポートしてくれ、僕のものは再びすんなりとれいむの穴に飲み込まれる。 「ど…どうしたらいいの…?」 「すきにうごかしてみて…そう…きもちいい…」 言われるままに拙い腰使いで僕はれいむの穴を掘り進んだ。 「きもちいい?」 「そう、きもちいい…いままでしたどれよりも…」 そう口走ってれいむははっとなり、申し訳なさそうな顔をした。 「ごめんなさい、ほかのひとのこといっちゃだめなのに…」 僕は何のことか分からず、言われるがままに腰をれいむの腰にぐりぐりと押し付け続けた。 やがてそれももどかしくなり、動きやすい方法を探すうちに、僕はれいむの足を抱えて腰を前後に動かすようになった。 ぐちゃぐちゃと派手な音を立てながら、れいむの穴になってしまった割れ目が僕のものを咥えて、その動きに合わせるように吸い付いてくる。 「あんっ…あっ…あっ…あぁっ!!」 れいむが短い悲鳴を上げ始めると、僕も段々思考が鈍ってただただ腰を動かす作業に没頭し始める。 れいむの足を抱えたままひざ立ちが辛くなり覆いかぶさってれいむを押しつぶすようにすると、れいむの顔がぶつかりそうなほど近くにくる。 僕らはどちらともなく近づくままに唇を重ね、より一つになるようにあらゆる部分を相手に押し付け続けた。 そして三度目の爆発をれいむの中で終えると、僕らは気絶するようにそのまま床に転がって眠ってしまった。 「きがついた…?」 うっすらと目をあけると、優しい微笑みを浮かべて僕を覗き込むれいむと目があった。 「ん…」 「ねてていいよ」 「うん…」 れいむは僕に膝枕をしてくれていたようで、ふっくらとしたぬくもりが僕の頭を優しく支えていた。 れいむの言葉に甘えることにして、僕はけだるい体をつめたい床に投げ出したままで目をあける。 「ねえ…さっきのなに…?」 「やっぱりしらないの?おとこのひとがいちばんよろこぶのがこれなんだよ」 それかられいむとのゆっくりとした会話の中で、僕は初めてさっきの行為がセックス、僕がしたのは射精だということを知った。 そしてれいむが行為の最中に言った、他の人の話はしちゃいけないという意味も。 れいむは初めの飼い主とセックスをしていたが捨てられ、次に拾われた人ともそういう関係になった。 けれどそこで前の飼い主のこととの話をすると、酷く怒られて、殴られたりしたこともあるらしい。 再び謝るれいむに、僕は優しく気にしなくていいと言った。 けれどその人の気持ちも少しは分かる、僕はたった一回身体を重ねただけで、もう絶対にれいむを離したくないと思うようになってしまった。 窓の外を見ると、意外にもあまり時間はたっていなくて、外はまだうっすらと明るさを残していた。 親が帰ってくるまでまだ時間があると分かった僕は、れいむにお願いしてもっとセックスを教えてもらうことにした。 れいむもそれを快諾し、僕らは僕のベッドに場所を移して再び体力が尽きるまで身体を重ね続けた。 れいむの知っている限りのことを次々と教えられながら枯れ果てるまでれいむの中で射精すると、僕達はお互いを抱いたままベッドの中で眠ってしまった。 物音に気付いてふと目を開けると、部屋の外から足音がするのが聞こえてきた。 その音と微かに聞こえる声に母さんが帰ってきたことを知ると、僕はれいむを起こして脱ぎ散らかしていた服を着た。 僕は高鳴る胸を押さえながら、れいむをつれて母さんの居る居間に向かった。 僕はこれから母さんにれいむを紹介して、僕達はずっとずっと一緒に暮らすんだ。 そう信じて疑わなかった。 けれど僕にぶつけられた母さんの視線は冷たく、投げかけられた言葉は僕の心を深く抉ることになる。 「そんなのひろってきちゃだめでしょ、家にはそんな余裕はないの、捨ててきなさい」 なんでもないことのように、母さんはそう言い放って視線をはずした。 僕にはそれが信じられなかった、もう少し考えてもいいんじゃないか、どうして僕の大切なれいむにそんな酷いことが言えるんだ。 僕は怒りと絶望と興奮で涙をぼろぼろとこぼしながら母さんに大抗議をする。 「どうしてさ、僕はれいむと一緒に”暮らし”たいんだ!わかってよ!」 「だめよ、うちじゃ”飼えない”の」 投げつける言葉を変えながら、結局はそこに行き着く問答を何度も繰り返す。 僕の後ろで黙っていたれいむが僕の手を握り、あきらめたように首を振って、僕と母さんの戦争は幕を閉じた。 あたりに響くのは虫の声と僕達二人の足音、二人の間には沈黙が横たわっている。 涙で目を真っ赤に腫らし、時折鼻をすすりながら僕はれいむの手をぎゅっと握って、二人が出会った公園まで連れて行った。 ずっと一緒に居たかったけれど、短い道のりはあっという間に終わってしまう。 僕は公園の入り口でれいむの手を握ったまま向かい合い、その大きな瞳を見つめた。 「ごめん、ごめんね」 「どうしてあやまるの?」 「ずっと…一緒に居たかった…僕れいむのことが…好きだ…」 子供ならではの短絡な思考、でもその時僕は本当に真剣にれいむのことが好きだった。 もう二度と離したくない、ずっと一緒にいたい、そう願ってやまなかった。 けれど残酷でわからずやの大人のせいでそれは敵わず、僕らはこうして別れなければならない、そう思っていた。 「明日から毎日ここにくるから!ずっとずっと、学校がはじまってもれいむに会いにきて夜までずっと…」 僕の言葉をさえぎるようにしてれいむは僕の頬にキスをした。 どうして頬なんかに、僕はじれったくなってれいむの肩をつかんで唇を重ねようとする。 けれどれいむは顔をそらしてしまい、僕の唇はれいむの頬に当たってしまった。 「どうして…」 今すぐ抱いてしまいたいほどに僕の愛しさは膨らんで、どうにかなりそうだった。 けれどれいむは僕の身体を両手で押して一歩後ろに身体を引いた。 「あのね…さいごにいっこ、おしえてなかったことがあったよ…」 れいむは俯きながらそう切り出す、僕は一言一句聞き漏らさないように真剣にれいむの言葉に耳を傾けた。 「にんげんさんと…ゆっくりは…”こい”をしちゃいけないんだよ、すきになっちゃだめなの」 「どうしてさ!」 思わず語気を荒らげる僕にれいむはビクリと肩を震わせた。 「しあわせーになんかなれないから、だよ!じゃあ、またあしたね!」 また明日、そういわれて僕はすっと毒気が抜かれるのを感じた。 れいむはぱっと顔をあげて、笑顔で手を振りながら公園の中に入っていく。 そうさ、また明日、明日の次は明後日、ずっとずっと毎日会いにくれば良い、一緒に暮らせない、ただそれだけ。 僕は希望が胸に生まれるのを感じながら、ぐいっと涙を拭って笑顔でれいむに手をふった。 「うん!またあしたね!」 そういって僕は背を向けて、公園を後にし家路に着いた。 それが僕とれいむの最初で最後の別れとなった。 次の日僕は朝かられいむに会いに公園に行った。 けれどれいむは公園を隅から隅まで探してもどこにも見つけることが出来なかった。 どうしようもない悲しみに僕がわんわんと声を上げて泣いても、ついにれいむは現れなかった。 今になって思えば、それが僕の気持ちを知ったれいむの、本当の意味での優しさだったのだと思う。 あれ以来なんど公園に足を運んでも、僕はただの一度もれいむの顔を見ることは出来なかった。 あれから何年もの年月が流れ、あのれいむがあれからどうなったか、今どうしているかは分からない。 僕に出来ることは、僕が好きだった『彼女』が、この空の下の何処かで幸せに暮らしていることを祈る、ただそれだけだった。 終 ----------------------------------------- お久しぶりです。 夏になると本当に日々が忙しく、好きなことをするのにもわざわざ時間を削ってねじ込んで捻出しなくてはならなくなってしまい、 なんだか疲労ばかりが残されてしまっています。 今回は某作品のオマージュですが、あまり深く考えずタイピング作業をしたためそうか?と思われてしまうかもしれませんが、 自分自身は楽しみながら創作できたのでよかったとは思います。 それでは次の作品で。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 anko3107 ゆかりん anko3114 命の価値 anko3125 ちるの時々まりさ anko3129 はるですよ anko3452 れいむが愛したれいむ anko3529 てのりれいむと愉快?な仲間達 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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『甘い言葉』 9KB いじめ いたづら 野良ゆ 現代 虐待人間 暇つぶしにでも、どうぞ 『甘い言葉』 ある晴れた日のこと。 一人の青年がゆっくりまりさと呼ばれる、ゆっくりを発見した。 方向的にゴミ捨て場に向かっている。 都市部に住みつくのは野良ゆっくりと呼ばれる。 その野良ゆっくりという不衛生の固まりの様な存在で動く腐った生ごみの様なモノ、それが現在の野良のゆっくりへの認識だ。 人語を解し、ほとんどの野良ゆっくりは人の神経を逆なでにする事に関して、天性のモノを持っている。 野良ゆっくりと会話して、苛立ちも起きないモノは。 聖人や、常人と盛大に違うかとか、一般人では不可能だろう。 そんな野良ゆっくりの相手をするモノは少ない。 その野良ゆっくりの相手をする数少ない人の一人が、その青年であった。 決して野良ゆっくりが可哀そうだから助けようとかそんな理由で彼は野良ゆっくりと接するわけではない。 ゆっくりが不幸に落ちるさまを見るのが大好きだけだ。 自分が世界の中心だと信じて疑わないその面を実は世界の底辺以下の存在だと知らしめて不幸になる様を見る為に。 幸せの絶頂だと思っているその状況を一変させ絶望に染まる様を見る為に。 塵芥よりもか細い存在だと自覚させる為に。 その状況を見るのも大好きだし。 その状況を作り出すのも大好きだ。 今日もその青年はゆっくりを一匹のゆっくりを不幸にすべく動き出した。 「そこのまりさ」 「ゆゆっ! にんげんさん!」 すでにゆっくりの代名詞、ゆっくりしていってね! と人間に挨拶する野良ゆっくりはほぼ皆無である。 このまりさも例外ではなかったようだ。 しかし、なんか言ってる間にさっさと逃げろと思うものだが、ゆっくりというモノは自分の思考の8割は口に出しているモノである。 おまけに名前に恥じず、行動も遅い。 「にんげんさんはゆっくりできないんだぜ! ゆっくりにげるんだぜ!」 跳ねて逃走。 野良ゆっくりにしてはよく出来た行動である。 だが、悲しいかな本ゆんにしては全速力であろう、その行動は大人の大股歩き程度の速さでしかなかった。 普通だったら、ここで無視をするか、蹴りの一つでも喰らわせていただろう。 しかし、今回の青年は少しばかり趣向を凝らしたものだった。 「まりさ、飼いゆっくりにしてやろうか」 逃げるまりさに青年は魔法の言葉をかける。 ビクリと、その言葉に反応するまりさ、しかしまだ背を向けて逃げている。 飼いゆっくり。 それは野良ゆっくりの憧れの的であり、嫉妬や羨望の的でもある。 人間と一緒にいる飼いゆっくりを見れば、どんな野良ゆっくりでさえ、現状に不満を覚えるだろう。 綺麗な体、幸せそうな顔、そして何よりもゆっくりしている。 冷たい風に晒され、一日中生き残るために動きまわり、時に動物に狙われる毎日。 飼いゆっくりになれば、住処も餌も、飼い主によっては番でさえ、用意される。 飼いゆっくりになれるかもしれない。 そんな砂糖菓子の様に甘い言葉にまりさは反応してしまった。 まだ若い個体なのだろう、自分が飼いゆっくりになれるなんて自分の餡子脳より小さい小さい希望に縋ってしまうなんて。 「綺麗にしてやるぞー」 まりさの跳ねる速度と幅が徐々に小さくなっていく。 「住む場所もやるぞー」 もう跳ねることを止め、完璧に地面を這っている状態だ、もう青年の言葉に聞き耳を立てている。 「餌もやるぞー」 ピタリと動くのを止めてしまった。 「あまあまもやるぞー」 その最後の言葉にまりさは完全に青年への警戒心を解き、振り向いた。 「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 ゆっくりなんてちょろいもんである。 「ああ、ゆっくりしていってくれ」 「ゆゆ~ん」 挨拶を返され、さらに青年への警戒心を緩めるまりさ。 「にんげんさん、まりさをかいゆっくりにしてくれるってほんとうなんだぜ!」 「ああ、本当さ」 「ゆわーい! まりさこれからかいゆっくりになるんだぜ! しあわせでごめんね!」 誰へ言うわけでもなく、宣言するまりさ。 こんなことを言うまりさの顔を蹴り飛ばしてやりたい衝動に駆られるが我慢。 青年は次の言葉を言う。 「だがまりさ、お前を飼えないかもしれないんだ」 まりさが固まるのも数瞬、まりさは青年を糾弾するように叫ぶ。 「どうゆうことなんだぜ! うそつきはゆっくりできないんだぜ!」 「まあ、待て、かもしれないだ、絶対じゃないぞ」 「ゆゆ? どういうことなんだぜ?」 「ああ、まりさが飼いゆっくりになるためには、まりさの帽子を置いていかないと、帽子もまりさもゆっくりした飼いゆっくりにできないんだ」 「ゆがーん!!」 家族と今生の別れする様な表情をするまりさ。 しかし、これはゆっくりにとって当たり前のことである。 ゆっくりにとって、飾り、まりさでいう、帽子はゆっくりにとってはとても大切なものなのである。 生まれた頃から一緒にある、あって当然であるゆっくりの飾りだ。 自分の半身と言っていいほどである。 そしてその存在はとても重要だ。 教育を受けていないゆっくりは飾りがなければ個別認識さえできない。 ゆっくりできないゆっくりとして、他のゆっくりから迫害さえされてしまう。 それほどまでにゆっくりにとって、飾りは重要なのだ。 それとここで別れろと青年は言う。 まりさにとって、まさにゆん生の岐路である今、半身を取るか自身の栄光の未来を取るか。 決断の時である。 「ゆ゛ーーん゛」 「俺にはあまり時間がないんだ、早く決めてほしいんだが」 「まづんだぜ! いまがんがえでるんだぜ!」 頭から湯気が出そうなほど顔を赤くして考えているまりさ。 結論を待っていたら日が暮れてしまうと思い、青年は言う。 「しょうがないな、まりさ、この手を見るんだ」 「ゆ゛?」 茹った頭のまま、まりさは青年に促されるままにその手を見た。 「手から、5…… たくさん、指が出てるだろ」 まりさは頷く。 青年がなぜ5という数字から、たくさんという言葉に変えたのか。 それは教育を受けていないゆっくりは3以上の数はたくさんと認識するからだ。 そしてその認識能力は低く、自分の子供が3匹以下になるまで数が減っていることに気付かないほどだ。 「この指が全部折れたら、俺が勝手に色々やっちゃうからな」 「ゆ゛ーー」 「ほら、指はこんなにたくさんあるんだぞ、時間はたくさんあるんじゃないか?」 「ゆ゛ーー、……そうだぜ、ゆっくりかんがえるんだぜ!」 たくさんの指が折れるまでまだ時間はたくさんある。 そう思ったのだろう、まりさは長考に入った。 「ひとーつ」 「ゆーー」 青年の親指がゆっくりと内側に曲げられる。 まりさはゆっくりと考えている。 「ふたーつ」 「ゆーーん」 人差し指が曲げられ、引っ張られるように中指と薬指が少しだけ曲がった。 まりさはゆっくりと悩んでいる。 「みーーつ」 「ゆー、ゆゆ! もうふたつしかないんだぜ! ゆ、ゆゆゆゆゆ、まつんだぜ! おにいさんまつんだぜ! ゆっくりしてね!」 中指が曲がる。 まりさは指が後二つになってしまったことに気付いた。 あんなにたくさんあったのに、まりさはそう思う。 全くまとまらない考え、迫る時間。 並行にモノを考えることが苦手なゆっくりである、考えに集中することもできず、時間にばかり気を取られる。 「よーーつ」 「まつんだぜ! いまかんがえてるんだぜ、ゆっくりかんがえてるんだぜ! なのに、なんで、ゆっくりしてないぃぃぃぃぃ!!」 薬指が曲がる。 もはや、まりさにゆっくり考える余裕なんてない。 完全に混乱している。 「いつーーつ」 「ゆ゛あ゛ー! あ゛ー! あ゛ー! あ゛ー! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!、どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! どぼずれ゛い゛い゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 ついに最後、子指が曲げられ、5が数えられる。 考えはまとまらず、まりさにとってはたくさんの、青年にとってはたった5本の指を折り曲げただけの時間が終わった。 「まりさー、たくさん待ったのにまだ考えがまとまらないのかー、じゃー、勝手に俺が決めちゃうよ」 このままではまりさは帽子を置き去りに飼いゆっくりにされてしまう。 あんなに憧れていた飼いゆっくりなのに、この心にぽっかりと開きそうな感覚はなんなんだろう、とまりさは思う。 まりさの帽子に手がかかる。 これでまりさは帽子を外し、青年に連れて行かれるのだろう。 しかし、しょうがないと、まりさは諦める。 ついに、まりさの頭から帽子が離れる。 今までずっと一緒だった、帽子。 生まれた時から、遊んだ時から、悲しかった時も、嬉しかった時も、辛かった時も、ゆっくりしていた時も。 ずっと、一緒だった帽子。 これからもずっと一緒にゆっくりしていくんだと思っていた。 けれどこれでお別れだ。 涙で前がぼやける。 何時も頭に乗っていた帽子が無くなった頭は。 とても寒く、ゆっくりできなかった。 けれど、けれども。 まりさは帽子に別れを言うために言葉を紡ぐ。 「まりさはこれからおぼうしさんのかわりにゆっくりしていくんだぜ、だから……おぼうしさんゆっくりしていってね!」 青年の手ある帽子に、精一杯の笑顔で言えたはずだ。 「ああ、別れはすんだか」 まりさは頷く。 「じゃあ、これからこの帽子を家を持って帰るからな」 「……どぼいうごどぉぉおぉっぉぉぉぉ!!!!!」 「え、気が変わった」 そんな事はない、最初から汚らしい野良まりさを飼う気なんて一厘ほども考えていない。 「うそつきはゆっくりできないんだぜぇぇぇぇぇっぇぇ! まりさをかいゆっくりにしてくれるんでしょぉぉぉっぉぉぉ!!!」 「だから、俺は帽子を飼ってやるって言ってるじゃないか、お前たちなんて大切な帽子が飼われるんだぞ、ゆっくりするんだぞ」 「ばりざがゆっぐりでぎないんだぜぇぇぇぇぇ!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 帽子を飼うなんて、青年は我ながら意味がわからないことだと思う。 けど相手は、混乱しているゆっくりだ、理由なんて適当で十分。 「じゃあな! 精々ゆっくりしていくといいさ!」 そう言うと、帽子を片手に青年は駆け出す。 「ゆえええええ!! まづんだぜぇぇぇぇぇ!!! まっでぇぇぇぇぇ!!!! ばりざをがいゆっぐりにずるんだぜぇぇぇぇ!! おぼうじざぁぁぁぁぁぁん!!!!!」 青年はすぐに道路の角を曲がり、見えなくなった。 必死に追いすがるまりさ。 青年が見えなくなった曲がり角につき、その先を見るが、すでに青年の後姿すらなかった。 「ゆっぐ、ゆっぐ、ゆっぐりぃぃぃぃ! ゆっぐぢぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 叫び声をあげて立ち尽くすまりさであった。 帽子を無くした野良ゆっくりは、よほどの運がなければ、野良ゆっくり社会に戻れないだろう。 青年はそう思うだけで、腹を抱えて大笑いしたくなる。 しかし、笑いはしない、青年は角を曲がって曲がって、また同じ道に戻ってまりさの背後から見ているからだ。 帽子を返そうなんて思わない、せいぜい綺麗にして、家に飾っておいてやろうとは思う。 帽子を無くし、たったあれだけのことで信頼した青年に裏切られて。 まりさはベソベソとその場で立ち尽くして泣いている。 そんな姿を見ただけで、青年は気分がすっとする。 だから、思うのだ。 ゆっくりの大好きな甘い言葉を使い、また虐めてやろうと。 anko1083 サンプル anko1097 暗く湿った穴の中 anko1308 すろーりぃな作戦 anko1394 投げた! anko1425 声 anko1477 さよなら生物 anko1503 山彦恋慕 anko1632 親の脛かじり anko1739 楽しい朝餉 anko1823 梅雨が来て、人が来て anko1879 飼い(仮)ゆっくり 子れいむ anko1890 一緒に遊ぼう anko2053 ゆっくり地獄鍋 anko2216 真夏のオアシス anko2291 一番ゆっくりしてるのは anko2313 エチケット糞袋 17作目です。 では、最後まで見ていただけたら幸いです。 大きく振りかぶったあき
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『そのせりふはいわさなえ!』 11KB 愛で いじめ パロディ 野良ゆ 21作目ましてこんばんは、キャンセルあきです そのせりふはいわさなえ! ~こがさな天丼三尾乗せ~ キャンセルあき ■そのせりふはいわさなえ ~わちゆる編1~ その日ゆっくりこがさは、群れのげすまりさとでいぶから折檻を喰らっていた。 「ふざけないでね! こんなくさったなまごみさん、でいぶたちがたべられるわけないでしょおおっ!?」 「こがさのべろはくさってるのぜ!? ばかなのぜ? しぬのぜぇ!?」 「わちきをゆるしてね! さでずむはゆっくりしてないよ!」 懇願虚しく、こがさがゲスまりさにれいぱーされようとしたその時だ。 「まちなさい、そこのまりさとれいむ! こがさをいじめるのはぜったいにゆるさなえですよ!」 さなえが飛び出してきた。当然、物陰からタイミングを伺っていたのだ。 「ゆげ、まずいのぜ、さなえがきたのぜ!」 「でいぶはかろやかにさっそうとたいきゃくするよ! そろーり、そろーり」 「ゲスはぜったいにゆるさなえっ!」ビリッ バリッ 「まりざのおぼうじざんがあああっ!」 「でいぶのおりぼんざんがあああっ!」 二体のおかざりは、ぎりぎりまりさとれいむに見えなくもない、という程度に破壊された。 「こんなにゆっくりしていないまりさとれいむなら、こがさをいじめることもできませんねっ!」 「ま……まりちゃ、もうおうちにかえりゅのじぇえええっ!」 「まっちぇね! れいみゅをおいちぇいかないじぇねえええっ!」 ゆっくり出来なくなって幼児退行した二体は、這々の体で逃げ出した。 「さなえ! たすけてくれるなんて、ひょっとしてわちきゆるされたのかにぇ?」 「もちろん――」 「さなえ……」 「――こがさはぜったいにゆるさなえですよ?」 「ゆっぴぃ! だったらどうしてまりさとれいむをおいはらってくれたのおおっ!?」 「だって、こがさをいじめていいのはこのさなえだけなんですから!」 「おぅ……さでっずむ」 何事かを言いかけたこがさに、さなえ全力の体当たりが決まって吹っ飛ばした。 おわり。 ■幕間 ~みんなのおいしゃ、えーりん先生!~ 「ゆっくりしていってね、えーりん。それかられいむのはなしをきいてね。 れいむのかわいいかわいいおちびちゃんが、おしりがかぶれてないているんだよ!」 「ゆぅ……それはどうやらおむつかぶれね。しばらくはおむつさんをつかわないようにしなさいな。 しんぱいしなくても、あにゃるのまわりをやさしくぺーろぺーろしてあげればすぐになおるわ。 まったく、うんうんのあとはおむつをすぐにかえなさいと、あれほどいったじゃない」 「ゆぅぅぅ……やっぱりれいむがぺーろぺーろしてあげないとなのおおっ!?」 「こんどこそだてをさぼったら、まりさはりこんをかんがえているそうよ、れいむ」 「ゆゆ、ゆっくり、していってね――え、えーりんせんせい! まりさ、まりさね、"かり"のれんしゅうちゅうにまたころんじゃったんだぁ! おとうさんもおかあさんも、つむりのほうをみてばっかりで、まりさをきにしてくれないから、 えーりんせんせいにやさしく"ちりょう"してほしいよ!」 「ゆぅ……だいじょうぶね、このくらいならわたしのぺーろぺーろでなおるわ。 まりさちゃん、こっちをむきなさい……ぺーろぺーろ。いたいのいたいのぺーろぺーろ」 「ゆふふふふふふ! やっぱりえーりんせんせいのぺーろぺーろはゆっくりしてるよぅ! まりさ、またおけがをしちゃったら、やっぱりえーりんせんせいにぺーろぺーろしてほしいな!」 「……けがはなんどでもなおしてあげるわ。けれどじぶんでじぶんにきずをつけるのはやめましょうね。 さびしくなったら、いつでもすーりすーりをしてあげるから。ね、なくのはやめましょう、まりさちゃん」 「えーりんー。ちぇんのありすが、こいしさんにつまづいてかなりふかいきずをおっちゃったんだよー。 かわがやぶけて、なかのくりーむがもれてきてるんだよー!」 「ゆぅ……それはぺーろぺーろではなおりそうにないわね。 わたしのうんうんをもっていきなさい――きずぐちにそれをぬりこめば、すぐになおるわ」 「ありすをたすけるためとはいえ、ちぇんにはすこしわからないよー。 "なっとくっ!"はできるけれど、『うんうんぷれい』はでぃーぷすぎてわからないよー」 「しんじつはときとしてつらいものだわ。ありすにはだまっておくのよ、ちぇん」 「むきゅ、えーりんにそうだんがあるのだけれど、ちょっといいかしら? らんが、つがいのちぇんをいじめてけがをさせてしまうの。ちぇんをどうにかしてあげられない?」 「ゆぅ……そのもんだいは、ちぇんよりむしろ、らんのほうにちりょうがひつようだわ。 いちにちいっかい、わたしのところにくるようつたえておいてくれるかしら?」 「わかったわえーりん。ほんとうにたよりになるゆっくりね。 ……まえはとってもなかのよいつがいだったのに、ぱちゅはざんねんでならないわ」 「わたしもよ、ぱちゅりー」 「えーりん、えーりん、たすけてえーりん! まりさのれいむが、"えっとう"ようにくばられたごはんさんを、おうちにはこぶまえにはんぶんたべて、 そのせいでふとっておうちにはいれなくなっちゃったんだよ! えーりん、なんとかできないのぉ!?」 「ゆぅ………………ごめんなさいまりさ、さすがのわたしもばかにつけるくすりはないわ」 「……ゆっ!?」 「ばかをなおすほうほうなら、ひとつだけあるわよ、まりさ」 おわり。 ■そのせりふはいわさなえ ~わちゆる編2~ その日ゆっくりこがさは、腐った生ゴミの山に身体から突っ込んでむーしゃむーしゃしていた。 「うむむ、このまざりあったなっとうとちーずのにおいがぜっぴんだにぇっ!」 と、物陰からタイミング良く飛び出したさなえが、こがさにビニール袋を被せて体当たりした。 「くっさいこがさはゆるさなえ!」 直で体当たりするのは嫌だったようだ。 目をつぶって体当たりに耐えようとしたこがさ。 さなえがこないので目を開けると、山盛りのゆっくりふーどが目の前にあった。 「なまごみさんじゃなくって、このゆっくりふーどをたべるのです。それが"しんこう"です!」 「…………ゆ…………? さなえ、そのごはんさんはなんなのかにぇ?」 「もちろん、のらゆっくりであるさなえにはゆっくりふーどなんてとてもあつめられないので、 みっかかんほどHENTAIおにいさんの"すっきりーどれい"になってきました!」 「そんなごはんさん、わちきおもすぎてたべられないよ!」 「あら、もっとかるいごはんさんがよかったですか? ごしんぱいなく、にんげんのHENNTAIおにいさんとでは、さなえはにんっしんっしませんから!」 「そんなこときいていないでしょ。どうしてそんなことをしたのかぎもんだにぇ!」 「わからずやのわちきはゆるさなえ!」 「ゆっぴぃ! さなえぇ……いま、さなえからたいあたりをくらったわちきは、そのぶんゆるされるのかにぇ? そこのなまごみさんでぐるめしてもゆるされるのかにぇ?」 「もちろん……」 「さ、さなえ……」 「――こがさがなまごみさんをたべるなんて、ぜったいにゆるさなえですよ!」 「ゆっぴぃ――!」 「かんちがいしないでくださいね。 このごはんさんは、こがさになまごみさんをたべさせないためだけにもってきたんですからっ!」 「おぅ……でりっしゃす」 何事かを言いかけたこがさの口一坏に、さなえはゆっくりふーどを詰め込んだ。 おわり。 ■幕間 ゆっくり自動販売機 ゆっくり自販機――「透明な缶」に入れられたゆっくり達が自動で売られる機械だ。 「まりざをがいゆっぐじにじでぐだざいいいいっ!」 「でいぶは、にんげんざんにゆっぐじじでほじいいんでずううううっ!」 その最下段で、売れ残ったまりさとれいむが、一缶百円の叫び声を上げていた。 『ずっといっしょにゆっくりしよう』 かつて誓ったまりさとれいむ。 日に日に肥える彼女らは、今や居場所が再下段――缶一坏に大きくなれば、廃棄処分で他ゆんの餌だ。 あすあさってにもベンダーが、缶ごと回収していくだろう――そんな予感がしたある日、 財布を手にした少年が、一人自販機の前に立つ。 つぶらな瞳と赤い頬、なんとゆっくりした人だろう。 自由の予感と希望に満ちて、陳列されたゆっくり達は、みな一斉に色めき立った。 「おにいざあああぁぁん! まりざは! まりざはゆっくじできるゆっぐりでずうう! おにいざんを、かならず! ゆっぐじさせてみせまずううううっ!」 「でいぶは、でいぶはすこしくらいいじめてもらってもかまいまぜんからあああっ! どうが! どうがここからだじで! かいゆっくじにじでくだざいいいっ!」 このさい彼が虐待好きの、鬼威惨でも構わぬと、訴え始めたれいむとまりさ。 下段の普通種に負けじとばかり、上段住まいのゆっくり達も、ひときわ声を張り上げる。 財布を覗く少年に、取り出された百円玉が、自販機に吸い込まれた。 最上段の子さなえに、一度は向いた指先は、中段のみょん隣のちぇん、下段のぱちゅりーありすを過ぎて、 なんと驚くべき事か、まりさとれいむに向けられたのだ。 ぴっ…………うぃーん……がたん。 ……ちゃりん。 ぴっ…………うぃーん……がたん。 少年の手にした百円玉は、二枚も自販機に吸い込まれ、代わりにまりさとれいむの缶が、 転がり飛び出てきたのであった。 これには他ゆんも大喜び、なんといっても最下段、底まで落ちたゆっくりだって、 ちゃんと人に買われると――飼われる希望が見えたのだから。 「あ、ありがとうございまずうううううっ! にんげんざんんんっ!」 「れいむ、いっしょうけんめいにんげんざんにゆっくりしてもらいまずうううっ!」 手狭で苦しい缶の底、身体を丸めて土下座して、感謝を示すまりさとれいむに、 少年は救いの手を伸ばし、 「れいむううう! よかったねえええっ!」 「まりさあああっ! れいむたち、ようやくゆっくりできるねええっ!」 そして二本の丈夫な缶を、自販機の前に横並べ、真上にずいと踏み乗った。 取りい出したる千円札が、自販機の口に吸われ行く。 「「……ゆ?……」」 二匹の缶を踏み台に、その少年の指先が、やっと目当てのボタンに届く。 ぴっ……がちゃり。 少年の靴底しか見えない二匹の耳に、最上段の陳列ケースが開く音と、 「こんにちは! さなえはさなえです。ゆっくりしんこーしてくださいね!」 バッジ無しさなえの、元気なあいさつが響いた。 「ほんとうによろしいのですか? さなえはしんこーだけです。ばっじはないですよ?」 「うん、僕、前からさなえを飼いたいなって思ってて、おこずかいを溜めていたんだ。 まさかボタンに届かないとは思わなかったけど」 「よかったです……ほんとうに、どうかおにいさん、ゆっくりしていってくださいね!」 そして一人と一匹は家路につく。状況と少年に取り残された二匹は、唖然とそれを見送り。 「ど、どぼじでまりざをおいでいくのぜええええええええええっ!?」 「ま、まってね! れいむをいっしょにつれていってねええええっ!」 少年の影が消えた後で、ようやく呼びかけを再開した。 もっとも、「透明な缶」は防音機能付きで、お互いが通じ合っているように感じたのは只の思い込みだ。 自販機の前に放置された商品に、価値などゼロだ。いや、自販機のブランドを考えるなら、 二匹の存在はマイナスだとすら言える。 「「まりざ(れいむ)をゆっぐじざぜでええええええっ!」」 きっとすぐにベンダーが訪れて、二匹をゆっくりさせてくれるだろう、そう、永遠に。 おわり。 ■そのせりふはいわさなえ ~わちゆる編3~ その日ゆっくりこがさは、許されないのに悲観してセルフでキメようとしていた。 「わちゆるわちゆる――」 「こがさがトブのはゆるさなえっ!」 「わじゅらばっ! ……はっ……さなえなのかにぇ?」 体当たりでごーろごーろ転がったこがさは、さなえの姿に正気を取り戻した。 「こがさ、どうして"わちゆる"をさんかいいおうとしたんですか!?」 ゆっくりこがさは、"わちゆる"を三回唱えるとアッパー系にキマるのだ。 「うーん……じぶんでもわからないにぇ、きっとわちきがゆるされていないからだにぇ」 「ゆーん……さなえにとってもくるしいおもいをさせていることも、わかっていないんですかっ!?」 「わからないにぇ……わちき、きおくもとんでるみたい!」 「そんなにじぶんでトビたいんですか? トブのやめますか? それともゆっくりやめますかっ!?」 「わちきはゆるされたいだけなんだよっ! それともさなえがゆるしてくれるのかにぇっ!?」 「そ、それはもちろん……」 「さなえ…………」 「もちろん、こがさはぜったいにゆるさなえですよ!」 「ゆっ……ゆっぴぃぃぃ!」 「だって、さなえのこころをぬすんだつみのおもさは、ぜったいにゆるさなえですから!」 「ゆぅ!?」 「ゆるさないので、さなえといっしょに、ずっとゆっくり"しんこう"していってくださいっ!」 「おぅ……ぷれっしゃす」 何事かを言いかけたこがさの口を、さなえのちゅっちゅが塞いで黙らせた。 おわり。 ■あとがき 書いてる途中で誰得だか分からなくなりました。 ■過去作品はwikiよりどうぞ * anko2933 ゆっくりと(で)遊ぼう!他二本 * anko2910 その台詞は言わせない6 * anko2832 その台詞は言わせない5 * anko2815 はぐれまりさとながれみょん * anko2724 夕食、ゆっくり * anko2537 小ネタ三本 * anko2416 れありてぃ ~希少種の希少性~ * anko2398 電車を待ちながら * anko2298 どうする? * anko2016 熱中症には気をつけよう * anko1972 春、その季節は * anko1910 そして何かが動き始めた * anko1835 その台詞は言わせない4 * anko1728 そして何かが軽くなった * anko1666 春のとくっばんっ!編 * anko1659 越冬のススメ * anko1570 証言ゆ達 * anko1521 その台詞は言わせない3 * anko1508 その台詞は言わせない2 * anko1481 その台詞は言わせない
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・マジでキチな人間さんが出ずっぱりなお話です。 一応ゆっくりも登場したり虐待されたりしてますが、 人によっては「ゆっくり虐待しろよ」と思われるかもしれません。 ・タイトルでおわかりかと思いますが、敬愛するキリライターさんの作品からネタを無断拝借してます。 キリライターさん、お許しください! そして、いつも素敵なQNQNをありがとうございます。 ========== 『 「出ろ!」 りしていってね!!』 『 「出ろおっ!」 ~ん♪ れ 「早く出ろやあっ!」 のあかちゃん♪』 『とって 「出て来やがれえぇっ!!」 りしてるよおぉっ♪』 喉も枯れんばかりに叫びながら、何度も何度もモニタに拳を打ち付ける。 そこに映し出されている、不思議饅頭共の笑顔目がけて。 だが、モニタの中の饅頭共は、相も変わらず幸せそうな笑顔を浮かべたままだ。 ガンッ!! もう一発、モニタの中央を殴る。 少しヘコんだ前面の保護パネルに右拳を押し当て、そのままの姿勢でガクリと肩を落とす。 息を荒くする俺の耳に、机の両脇に設置してあるスピーカーから流れる、奴らの楽しそうな声が聞こえてくる。 その声が俺を余計にイラつかせる。 モニタに映し出されているのは、お手製の紙芝居動画だ。 ネットに投下されたイラストを使って作った、音声を流しながら一定時間で絵が切り替わるだけの単純な物だ。 BGMは省いたが、その分アテレコは超頑張った。 その動画に映し出されている物体。 どこか可愛らしくもウザい顔をして、脳天気な人語を喋り、脳天気に笑う生首共。 喜怒哀楽のみならず、およそ人間が抱くような感情のほとんどを持ち、食い、眠り、遊び、子を成す事までする。 それ程に生物的であるにも関わらず、その内側には内臓も血管も神経も骨も無い。 詰まっているのは餡子だけ。 そう、饅頭の中に入っているあの餡子だ。 そんな不思議饅頭ナマモノ共。 握りしめていた拳を解き、マウスを操作をすると、別の動画が映し出される。 『虐待お兄さん』と呼ばれる登場人物に何度も顔を叩かれ、腫れ上がった顔で泣き喚く饅頭共。 一つ前の動画での脳天気な笑顔が嘘のように、悲痛な泣き顔を晒している。 動画の再生時間が進むに連れて、シーンが次々と切り替わる。 奴らが、足を焼かれ、熱したキリを突き刺され、目玉を抉られ、髪の毛を引きちぎられ、 大切なお帽子やおリボンを破かれ、目の前で愛する家族を潰され、最後には自分も潰されて中身を飛び散らせる。 凄惨な光景と共に、スピーカーから奴らの悲鳴が溢れ出す。 『いちゃいよおおっ!! あちゅいよおおっ!! おきゃあしゃーんっ!!』 『もうやめてよー!! どーしてこんなことするのーっ?!』 『おねばいじまず、にんげんざんっ!! 「出ろおおおぉぉっっ!!!」 ざぜでぐだざいぃ!!』 悲鳴に誘われ再びモニタに拳を叩きつけた瞬間、遂に保護パネルが割れた。 拳がめり込んだ液晶パネルが、その部分を中心にして真っ白に変わり、奴らの姿が掻き消える。 スピーカーから流れる音声だけが、部屋の中に虚しく響き渡る。 「ハァッ、ハァッ、ハァ……ハァ……ハァ………クソッ!! 何で出て来ないんだよおぉっ!!」」 繋がったケーブルを乱雑に引き抜き、壊れたモニタを部屋の隅に投げ捨てる。 ガシャッ!と大きな音と共に、既に積み上げられていた廃棄モニタの山にぶつかり、何かの部品が床に転がった。 クソ……これで何台目だ…? 12台? いや、13か? ペットボトルのお茶をグイと煽る。 冷たい茶を流し込んで呼吸を落ち着かせ、新しいモニタの接続作業を始めながら、これまでの事を思い返す。 ◇ ◇ ◇ ネットの世界で生まれた、謎の生首キャラクター。 その存在は知ってはいたが、特段の興味はなかった。 ある"世界"を知るまでは。 ひょんな事からその世界を知った時に、最初に頭に浮かんだ言葉は、概ね、こんなような感じだったかと思う。 "なんだこれ…? 悪趣味だなぁ…世の中おかしなヤツがいるもんだ(笑)" だが、気が付くと、いつしか自分もその世界の住人になっていた。 架空の存在である生きた饅頭共を虐待し、奴らが苦痛と悲哀に顔を歪ませ、泣き声を上げる、 その様を夢想し、或いはその光景を描いた絵や文章を見て笑いを漏らす。 そんな、少しばかり歪んだ趣味の世界の住人に。 先達の作品を見ている内に、居ても立ってもいられない気持ちになり、自分でSSを書いたりもした。 自分が創り出した世界の中で思うがままに奴らを虐待し、その悲鳴を存分に堪能した。 書いた物をネットに投下して、同好の士達から共感のコメントを貰ったりもした。 その楽しさは、俺の中の歪んだ妄執を十分に昇華させてくれた。 だが、ある日を境に、それだけでは満足できなくなった。 きっかけは、ある絵師さんが投下した漫画。 序盤の展開だけを要約すると、こんな内容の漫画だ。 漫画の舞台は、俺がいるこの世界と同じく、奴らが実在しない世界。 ムラムラQNQNしながら虐待絵を楽しんでいるイケメンお兄さん登場。 だが不意に、実際に不思議饅頭共をその手で虐待できない世界の不条理さにブチ切れる。 怒りに任せてモニタを叩いたその時、架空の存在であった筈の奴らが姿を現すという奇跡が起こる。 後は…たっぷりお楽しみ… あの漫画を目にした時、全国の同好の士達の何%かは目の前にあったモニタを叩いた筈だ。 多分、その内の極々一部、数人の人間は、俺と同じようにモニタを叩き壊したかもしれない。 そして、最後にはこう思って諦めた事だろう。 (まあ………漫画だし) 俺はそうは考えなかった。 俺には、兼ねてから抱いていた疑念があった。 あの絵師さんの描く饅頭共は、 何故あんなにも活き活きと動き、 何故あんなにも素敵な泣き顔を晒し、 何故あんなにも潰したくて堪らない衝動を沸き起こさせるのか…と。 無論、画力・表現力が高いから、と言うのが最たる理由なのだろうが、 それだけでは説明しきれない何かを常々感じていた。 そして、件の漫画が投下された時、俺はその疑念への答えを導き出した。 (実物を見て描いている!) 恐らく、あの漫画は実体験を元にして描いた物だろう。 そう気付いたときに最初に俺がした事は、嫉妬に狂う事だった。 何故、俺のところには奴らがいないのに、どうしてあの人のところにだけ…!と。 ぱるぱるとか、そんな可愛らしい物ではない。 その時の偽らざる心情を饅頭風のオブラートに包んで告白すると、 「ひとりじめする××さんは××××っするよっ!!!!!」 だった。 だが、その漫画の感想欄に書き込む恨み言を延々とテキストファイルに記す内に、徐々に頭が冷えてきた。 そして、ファイルサイズが70kbを超えた辺りで、俺の双眸から涙が溢れ出した。 感謝と後悔の念から。 恥ずかしい事だが、俺はそのときになって漸く、あの人の真意を理解する事ができたのだ。 即ち、あの人は、 あの漫画を通して、奴らをこの世界に呼び出す方法を俺に伝えようとしてくれている、 共に奴らを虐待しようと、俺に呼びかけてくれている、と。 与えられたヒントは、"SuKima" 漫画の中で、奴らが出てくるゲートの役割を果たしたと思われるモニタ。 そこに書かれていた単語だ。 メーカー名か、製品名かはわからないが、いずれにしても聞いたことが無かった。 SuKimaモニタの捜索は困難を極めた。 人間関係のトラブルで仕事を辞めて、日がな一日家にいる身分だったので、時間はたっぷりあった。 それでも数ヶ月の時間を要した。 挫折し、諦めようとした回数は数知れない。 それでも、虐待へかける情熱だけが俺を支え続けた。 ようやく探し出したそのモニタは、海外の小さな電機メーカーが作っている製品だった。 (ちなみに、"SuKima"は製品のシリーズ名だった) 自国外での販売は無い上、一般の流通に乗らない産業用の製品。 広大なネットの海の中にもほとんど情報が載らない、そんな代物だった。 販売代理店すら無かったので、機械翻訳頼みでメーカーに直接メールを送り、 海外発送はしないし、そもそも小売りはしないとそっけない担当者にしつこく食い下がり、 前金、一切サポート・保証なし、20台以上まとめて注文する事を条件に、ようやく小口輸入で購入する事ができた。 念願のSuKimaモニタが届いたのは今日の午前中の事だ。 俺はモニタをPCに繋ぐと、意気揚々と選りすぐっておいたお気に入り画像を何枚も映し出した。 それからモニタを叩いた。思い切り叩いた。叩き続けた。 SuKimaモニタは、屋外の過酷な環境での使用も想定しているため、相当頑丈な作りになっており、 ちょっとやそっと叩いたぐらいで壊れるような代物ではない。 それが壊れて何も映らなくなるまで叩き続けても、奴らは出てこなかった。 それでも俺の確信が揺らぐ事はなかった。 初めからそうそう上手く行くとは思っていなかった。 だから、予備として同じモニタを30台購入していた。 鼻歌交じりに新しいモニタと交換し、それが壊れたらまた次、その繰り返しだった。 だが、壊れたモニタの数が手持ちの半分近くになってくると、流石に焦りが出てくる。 先程も、それでつい熱くなってしまった。 ◇ ◇ ◇ 「どうしてだ…どうして出てこない…? 何が足りないんだ…!」 自問しながら、ペットボトルに残っていたお茶をバシャバシャと自分の頭に振りかける。 興奮で熱を発していた頭と首筋に冷たい感触が広がり、徐々に冷静さを取り戻して行く。 「………」 頭が冷却されると共に、怒りで混濁していた意識もクリアになる。 そのおかげで、程なくして間違いに気付いた俺は、お茶で濡れた頭を振って呟く。 「…ふう……無理に決まってるだろ……」 冷静になって自分の行動を振り返ってみると、なんでそんな事をしていたんだろうと思う事が多々ある。 モニタを叩くと中から突如として饅頭生物が出現する? バカか俺は…? ああ、バカなのか。 訳のわからない思い込みで取っていた行動が恥ずかしくなってきて、冷えた頭がまた熱くなってくるのを感じる。 そう。そうなのだ。無理なのだ。バカげている。 モニタの中の饅頭共は、二次元世界の存在。こちらの世界は三次元。 二つの世界の情報量の差は甚大だ。 如何に奇跡を起こそうと、その差を埋める事などできはしない。 つまり 奴らが次元の壁を越えてこちらの世界に来るためには、三次元での器、依り代となるべき物質が必要なのだ。 饅頭生物共の依り代となる物質。 やはりそれは饅頭以外にあり得ないだろう。 早速饅頭をネット通販で注文…いや、とても待ってなどいられない。 そう思い立った俺は、財布を握りしめて部屋を飛び出した。 ◇ ◇ ◇ 車に乗ってやって来たのは、近所の大型スーパー。 折良く、ワゴンに山積みされた饅頭が特売品としてお手頃価格で売られていた。 天が俺に味方している。 お一人様何点まで、と制限を付けていなかったのが運の尽き。 他の客には悪いが、全て買い占めさせて貰う。 ワゴンの饅頭を、次々にショッピングカートのカゴに放り込む。 一応種類があるようだが、選ぶ必要は無い。饅頭でありさえすればそれで良い。 大小様々な饅頭を手当たり次第に掴み、カゴの中へギチギチになるまで詰め込んで行く。 カートの上下段が両方共一杯になる頃には、ワゴンに積まれていた饅頭は全て無くなった。 店員に声をかけて在庫を持ってきてもらい、二台目のカートに詰めて行く。 その店員も、周りにいた他の客達も、皆が皆、俺を見ると怪訝そうな顔を浮かべた。 俺の方にチラチラ視線を送りながら、ヒソヒソと囁き合っている者達もいた。 ママー!あのおj…シッ!見ちゃだめよ!という台詞も、リアルで聞いたのは始めてだ。 無理も無い。 饅頭ばかり大量に買い込む客など、普通はいない。 一時間前の俺だって、今の俺の姿を見たならば軽く引いていただろう。 狂っていると思いたければ、思うがいい。 俺には崇高な使命がある。 あの愛すべき不思議饅頭共をこの世界に召還し、 思いつく限りの虐待と虐待と虐待と虐待と虐待と虐待と虐待とたまに虐待とかあと虐待や虐待も与えてやり、 恐怖と絶望に充ち満ちた悲鳴を上げさせてやるという使命が。 周りの雑音を気にしている余裕など、ありはしないのだ。 そんな思いに突き動かされて、俺は一心不乱に饅頭をカゴに詰め込んで行った。 ◇ ◇ ◇ 買い物を終えて家に帰り着くと、饅頭がギッシリ詰まった大きなレジ袋を車から降ろす。 たかが饅頭と言えど、袋一杯ともなるとそれなりの重量になるものだ。 それが何袋もあるとなると荷下ろしだけでも一仕事。 一度に運べる量でもないので、まずは半分だけ両手と歯を駆使して運び、玄関へと向かう。 苦労して玄関の扉を開けると、目の前に同居している母親の姿があった。 「としあき、どこに出かけて…ど、どうしたの?…そんな物…そんなにたくさん買い込んできて…」 「………」 半透明なレジ袋の中に入っている物を見咎め、驚いたような表情を浮かべている。 あのスーパーで俺を見ていた連中と同じ顔だ。 「……と、としあき…仕事辞めてからもうだいぶ経つでしょ… お母さんのパート先の社長さんがね、知り合いが真面目に働いてくれる人を探してるって… もうそろそろおかしな趣味はや…としあき…! 待ってちょうだい…! としあき…!」 玄関を上がり、母親の横を素通りし、袋を自分の部屋まで運んでドサドサッと投げ込む。 残りの饅頭を取りにガレージまでもう一往復だ。 「お願いよ…としあき…もうやめてちょうだい…話を聞いてちょうだい……お母さん…」 重い荷物にジットリと背中に汗を滲ませながら自分の部屋に戻り、扉を閉めて鍵をかける。 まだ扉の向こうから、やめてくれだの何だのと雑音が聞こえてくるが、無視を決め込む。 相手をしているヒマなど無い。 さあ…始めるとしようか。 召還の儀式を。 壁際にずらりと並べた大きなレジ袋を眺める。 中にギッシリ詰まった無数の饅頭が、もうすぐあの憎たら可愛らしい不思議饅頭に生まれ変わるのだ。 これだけの数だ。さぞや虐待のし甲斐があるだろう。 まずは半分…いや、三分の二までは一日でブチ殺してやろう。 その後、恐怖に震える残りの饅頭共を可愛がってやる。 たっぷりと時間をかけて、「もうころして」と哀願してくるまでな。 無論、その後も楽にさせてなどやるものか。 何ヶ月も何年も時間をかけて、ヘシ折れた心を折って折って折りまくってやる。 想像するだけで興奮に身震いが止まらない。 袋を一つ、PCの前まで運ぶ。 結んであった袋の口を解き、中から一口サイズの小さな饅頭を二つ選んで掴み取る。 二匹分。あの漫画と同じだ。 SuKimaモニタの前に小さな饅頭を二つ並べて鎮座させると、その姿は厳かな祭壇に祀られた供物を想起させる。 ああ…漫画の中の情景がまざまざと目に浮かんでくる。 この饅頭に奴らの魂が宿り、散々に痛めつけられて怯えきった涙目で俺を見上げている… 既に俺の頭の中では、そんな一寸先の未来の情景が描かれている。 やべぇ…どうしよう… 「りきゃいできりゅ?」とか言われた日には、俺だったら絶対速攻で潰しちゃう。 いや、ダメだダメだ。栄えある一匹目だ。そこはグッと堪えよう。 まずワサピコ動くウザいモミアゲの3、4本もブチブチ引き千切ってやろう。基本だ。 その次は髪の毛を引っ掴んでベチベチと何度も机とキスをさせてやろう。 机に漏らした自分のしーしーにもたっぷりキスをさせてやろう。 勿論アマギリだって忘れちゃいけない。でも片目だけだ。見えてくれた方が楽しい事が一杯ある。 その後でご褒美だ。勿論、我慢した俺への。 グチャッ…!と右半分だけ叩き潰そう。 でもって、ブルブルと痙攣してる所に鏡を見せてやろう。 「ほーら、体が半分なくなっちゃったよ? もうすぐ死んじゃうよ? りきゃいできりゅううううぅぅぅ?」 と声をかけてやろう。 その時、どんな表情を見せてくれるだろうか? どんな声を聞かせてくれるだろうか? ああ…堪らん…堪らんわぁ…… で、姉妹の凄惨な死に様を目にして怯え切っているもう一匹には…… 「……やあぁあぁぁ!!」「……ぢゃいよおおぉぉ!!」「……ちしゃんがああぁぁ!」「……えりゅうぅ!」 …うっはああぁぁ…! うん! 取りあえず虐待一発目はそれで! 繁殖ぅ? そんなモノいらん。 召還方法さえわかればこっちの物だ。増えるのを待つ時間が勿体ない。 勝利を確信し、自然と余裕の笑みが浮かんでくる。 虐待小道具もオレンジジュースも準備ヨシ! 2、3回、深呼吸をした後で、右腕を大きく振りかぶる。 目を瞑り、力を籠めた右腕の拳に闘気的な何かを宿らせた気分に浸り…… カッと目を見開くのと同時に、一気に拳を振り下ろした。 「出ろおおおおおっ!!!」 ◇ ◇ ◇ 「クソッ…!!」 悪態を吐きながら、また一台、液晶パネルの割れたモニタをモニタ墓場に放り投げる。 何十回とモニタを叩き続けたが、結局、依り代の饅頭が奴らに変わる事は無かった。 赤く腫れた右手に息を吹きかけながら、左手で机の上の汚れを払い落とす。 腹立ちまぎれに思わず潰してしまった、饅頭二個の残骸だ。 饅頭に罪は無いし、食べ物を粗末にするのは良くないとも、頭ではわかっている。 わかってはいるが、グチャッと潰れて、餡子をはみ出させた饅頭を見ていると、 まるで本当に奴らを潰してやったような気分に浸れて、ほんの少しだけ溜飲が下がる。 まあ、いい。 本当の事を言うと、俺もこれで成功するとは思っていなかった。 如何に奴らが饅頭生物と言えど、それはあくまで中身の組成の話だ。 何の予備知識も無しに奴らの姿を見て、「あ、饅頭だ」と認識する人間はまずいないだろう。 それぐらい、その外観は実在する饅頭の姿とは大きく異なっている。 依り代とするには、やはりもっとリアリティが…奴らの姿に似せてやる必要があるのだ。 ただの饅頭にそのまま奴らを宿らせる事ができれば、量産が楽なのでそれに越した事はなかったが、 ダメなら当初の予定通り、次のステップに移行するまで。 次の準備を整えるべく、俺は部屋を出て台所へと向かった。 包丁…まな板…ボール… アレコレと作業の工程を考えながら、ガシャガシャと音を立てて調理器具やら材料やらを物色する。 …スプーン…小麦粉…水もポットに汲んで行こう……他に何が必要だ…? 考えても手順がわかる訳ではないと思い直し、そこらにある物を持てるだけ持って部屋へと戻る事にする。 「お願いよ…としあき…もうやめてちょうだい…お母さんの話を聞いてちょうだい……としあき……とし」 再び部屋の扉を閉めて鍵をかけ、外界との接触を遮断する。 まだ扉の向こうから、やめてくれだの何だの雑音が聞こえてくるが、断固無視だ。 そんな雑音が耳に入るという事は、集中力が足りない証拠。 先達がいるとは言え、俺の挑戦はこの世に存在しなかった物をこの世に創り出す、いわば神に挑む行為。 己の五感、いや、七感の全てを傾け、全身全霊を持って挑まなければならない難行なのだ。 くだらない雑事に回せる神経線維など一本たりとも余ってはいない。 「集中…! 集中……!」 呟きながら、ピシャピシャと自分の顔面を叩く内に、周囲の雑音が掻き消えて行き、 スーッと、心の内が凪いだ湖面のように鎮まって行くのを感じる。 この凛と研ぎ澄まされた感覚… やれる…! 俺は、今日、饅頭共の神になる! 袋の中の饅頭から、今度は大きめの物を一つ選んで取り出す。 まな板に置いた饅頭を包丁で縦に二つに切る。 次に、中の餡子をスプーンで掻き出してはボールに溜めて行く。 皮に付いている餡子もこそげ落とすように掻き取ったら、不要な皮の部分はゴミ箱へシュート! 2つ、3つと饅頭を袋から取り出し、黙々と同じ作業を繰り返す。 ……… 退屈な作業を淡々と続け、ようやくボール一杯分の餡子が溜まった。 指についた餡子を拭ってボールに落とし、まだ指にこびり付いている分を舐め取る。 …うむ。特売品にしては、なかなかに良い味の餡子だ。 これなら、必ずや奴らを顕現させてくれるに違いない。 お次は饅頭皮の用意だ。 別のボールに小麦粉を入れ、水を加えて混ぜてからコネ始める。 実物が実在しないので何が正解かわからないが、取りあえず耳たぶぐらいの硬さを目指して生地を作る。 生地をコネたら、包丁で一塊り切り落とし、のし棒で丸く伸ばして行く。 伸ばした生地の上にボールに入れておいた餡子をたっぷりと乗せ、餡子を包み込むようにして生地を閉じる。 水で濡らした指で生地の合わせ目を癒着させてから、両手の平で挟んで転がして饅頭っぽい形に整える。 さあ、ここからが本番、そして難題だ。 中学時代、美術2だった俺にどこまでやれるだろうか。 まずは顔を作る。 ヘラを使って、お手製饅頭の表面に三カ所、大きなヘコみを付けて行く。 これが目と口だ。 口はにこやかな笑顔の形に。 できるだけ、しあわせーそうな笑顔がいい。 その方が、その顔が絶望にグシャグシャに歪むのを見る時の楽しみが増すという物だ。 ……… 「くっ…なんか曲がってる……」 案の定、苦戦を強いられた。 口の形なんて単純なように思えるが、なかなか思った通りのしあわせー!感が得られない。 やり直しを繰り返す内に、どんどん歪な形になって行く。 遂には口の部分の生地がベロリと破れて餡子が漏れ出してきてしまった。 「ダメだな、これは」 これ以上直しを繰り返すより、新しく作り直した方が早そうだ。 失敗作を前にした陶芸家よろしく、お手製饅頭を床に叩きつけて潰してから、ゴミ箱に投げ捨てる。 その後も何度か失敗して饅頭を作り直したが、小一時間ぐらいしてようやく納得の行く口の形ができた。 だが、まだ道のりは遠い。 お次は目だ。これまた口以上に難しそうだな… あ…そう言えば、饅頭を買ったらオマケで飴玉みたいなのが付いてきてたような… 袋を開けて中身を確認する。 …お、あったあった。 白地に黒い模様が入っていて、奴らの目玉っぽく見える。 お、白地に金色のやつまであってお誂え向きだな。 サイズ的にも申し分無い。 お手製饅頭の目の部分に穴を開けて埋め込んでみた所、かなりいい感じだ。 箸の先を使ってキリッ!とした眉毛を刻み込んでやると、より一層本物っぽくなってきた。 これはアマギり甲斐のありそうな目だ。 思いがけず、目の造形が楽になった事にホクホクしながら、予備も含めて何個か取り出して、ボールの脇に置いておく。 その次は髪の毛とお飾り…は流石に小麦粉製じゃないな。 アレ何でできてたっけ? 砂糖菓子…は歯だよな… んー……まあ、体機能には関係しないし適当でいいだろう。 小麦粉の生地を練って、帽子とリボンを作る。 ちょっと歪だし色が付いてないが、構うまい。 髪の毛はところてんを押し出すアレでニョロッと作る。 これまた髪の毛にしてはちょっと太過ぎる気がするが可としよう。 …うん! この出来の悪いところが却ってイイよな! きっと、 「やぢゃああぁあぁ! こんなかみのけしゃんやぢゃあぁ! ぴこぴこさんがへんぢゃよおおぉ!」 「ごれじゃないいぃ! ごんなおぼうじじゃないい! かえしてええぇ! おぼうじかえしてえ!」 とか、心地よい泣き声を聞かせてくれるに違いない。 ふふふ…イイぞ。なんだか楽しくなってきた。 よーし、次はあんよを…… ……… 「…………うん!」 出来上がった依り代饅頭を四方八方から眺めて入念にチェックした後、満足して頷く。 一旦最後まで作った後も、よくよく見ると納得の行かない所があったりして何度も作り直しをしていた。 結局、今のこれが11体目にして、最初の合格品だ。 ボール一杯あった材料の餡子も、小麦粉の生地もほとんど無くなってしまったが、ようやく完成を見た。 苦労はしたが、その甲斐はあったと言えよう。 今にも動き出してお馴染みの挨拶を叫びそうじゃないか。 イケる…! イケるぞぉ…! 今度は間違いない! いそいそとモニタを、今度は床の上に設置し、その前に依り代饅頭をチョコンと置く。 何度か右足の素振りを繰り返して気分を落ち着かせると同時に、床の上のSuKimaモニタに狙いを定める。 よ、よし…! 行くぞ! 今度こそ!! 「うおおおぉぉぉっーーーーーーーーー!!!!」 掛け声と共に全力で右足を振り抜く。 俺の全体重を乗せた蹴りが炸裂し、SuKimaモニタがお空を飛ぶ。 そして俺は、宙を舞うモニタから迸る光を見た… ◇ ◇ ◇ 『やめちぇー! ちゅ、ちゅぶれりゅううぅぅ!!』 「ほーら! 餡子出ちゃったあああぁぁ!! どおおだああぁ! 苦しいかあぁぁ!? こんなに餡子出ちゃったら死んじゃうね? もうすぐ死んじゃうね?! めひひひ…! 今どんな気持ち? どんな気持ち?」 市販品の方の一口饅頭をモニタにグリグリと押しつけて潰し、中の餡子をはみ出させる。 まるでモニタの中で泣いている不思議饅頭の体から、本当に餡子が飛び出したかのようだ。 次々と袋の中から饅頭を取り出しては、モニタに押しつけて潰し、餡子を塗りたくる。 モニタが餡子一色に染まるまで、ビッシリと塗りたくる。 モニタの枠にも、背面にも、スタンドにも余すところ無く塗りたくる。 『あんこしゃんでないじえぇ! じにぢゃぐないいぃぃ!!』 「だーめっ!! 死・ぬ・のっ!! 死にたくなかったらぁ…」 俺は、モニタの形をしたおはぎに向かって笑いかけながら、袋の中の饅頭をゴソッと片手で掴めるだけ掴んで取り出し、 「さっさとソコから出て来やがれええぇぇっ!!!」 自分の右手ごと思い切りモニタに叩きつけた。 ……… 「くそおおぉぉ…! なんで出てこねええぇ…!?」 電源が入らなくなった餡子まみれのモニタに向かって悪態を吐く。 召還、いまだ成らず。 最初に蹴りを入れた時には、モニタが一瞬光った気がしたので、これは!と思ったが、 単に基盤が割れてショートしただけだった。 まだ造形が悪いのかと思い、更に何度も新しいのを作り直してチャレンジを繰り返した。 回数を重ねるごとに完成度は上がり、自分ではかなり似ている物ができたと思っている、 髪の毛やお飾りは相変わらず雑だが、顔や体の造形だけなら、ねんどろいどあきとだって互角に戦える。 にも関わらず、戦果は今壊した分を含めてモニタ4台大破、のみ。 絶対上手く行くと思ったんだが…… 疲れを感じて、床に座り込む。 時計を見るともう夜中だ。 SuKimaモニタが届いてからで数えると、15時間ぐらい経っている。 集中力が落ちてきたのか、また、「もうやめて」だの、「話を聞いて」だの、雑音が耳に入るようになってきた。 「うるせえっ! 黙ってろおっ!!」 声のする方向に壊れたモニタをぶん投げると、けたたましい音と共に、破片が派手に飛び散った。 それでも雑音が止まない。 更に何度か怒鳴りつけるも、まだ雑音は続く。 仕方なく、のろのろと立ち上がって蹴りをくれてやりに行くと、ようやく雑音が小さくなってきた。 更に蹴りを加えて雑音のボリュームを落とす。 まだ僅かにすすり泣きのような声が聞こえてくるが、これくらいなら許容範囲だろう。 ふう…それにしてもいかんよな…こんな程度で集中を乱すなんて… 再び床に座り込んだ俺は、ガサガサと袋から饅頭を一つ取り出し、ガブリと囓る。 考えてみれば朝飯以来、何も食べていなかった。 噛みしめる程に口の中に広がる甘さが、疲れた体と脳を癒してくれる。 二口…三口…とガツガツと貪るように囓り、ヌルくなったペットボトルのお茶で喉の奥に流し込む。 今度は一口サイズの小さいやつを三つ纏めて取り出し、一気に頬張る。 口一杯に詰め込んだ饅頭をクチャクチャと噛みながら、次の手を考え始める。 「………モグモグ……クチャクチャ……ゴクン……バクッ…モグモグ…クチャクチャ……ムグ…?」 何個目かの饅頭を囓ろうとした時に、疑問が頭を過ぎった。 SSの中では、破れた饅頭皮の補修に水溶き小麦粉を使う事が多い。 それ故、饅頭皮=水溶き小麦粉というイメージがあったのだが、本当にそうか? 考えてみれば、売ってる饅頭の皮も単なる小麦粉だけじゃなくて、味が付いてたりする物が多い。 試しに手に持った饅頭の皮だけを剥がして口に入れてみると、微かに甘みを感じる。 …小麦粉だけで皮を作ったのが間違いだったのではないのか? そう考えてみると、実は既に召還に成功していたにも関わらず、 周りの皮が偽物だったせいで動く事ができなかっただけかもしれないという気がしてきた。 身動きを取る事も、声をあげる事すらもできずに (う…うごげないよおぉ!? どうじでえぇ?! どぼじでなのおおぉ?!) と声なき声を上げていたのかと思うと、それはそれでQNQNするのだが。 失敗作だと思って潰して廃棄処分にしてしまったが、惜しい事をした。そのまま飾っておけば良かった。 よし! 皮もちゃんとした饅頭皮を使ってみるか! 正しい饅頭皮のレシピなんて知らないが、なに、買ってきた饅頭に現物がくっついているのだ。 これをそのまま流用すれば良いだろう。 袋からまた饅頭を幾つか取り出す。 過剰な個別包装を引き剥がして捨てた後、ぺりぺりと饅頭皮をむしり取っては、空のボールに投げ入れる。 皮を剥がし終えたら、残った餡子玉は別のボールへ。 こちらは今まで通り、いのちの餡子になってもらう。 ボール半分ぐらいまで饅頭皮が溜まったら、ポットから水を注いで皮をふやかす。 柔らかくなった所で、余分な水分を搾ってから、グチャグチャと皮を捏ねて一塊りの生地にして行く。 これで即席饅頭皮生地の出来上がりだ。 後の工程は小麦粉100%で作った時と同じ。 ……… それから1時間ぐらいかけて、依り代饅頭を完成させた。 造形は完璧。今度は餡子も皮も真性の饅頭製。 もはや失敗する要素が何一つとして見当たらない。 SuKimaモニタをそっと床の上に寝かせ、その脇に依り代饅頭を置く。 この苦行も、いざ終焉を迎えるのかと思うと、何か寂しさすら覚える。 「…ありがとう」 誰もいない部屋で深々と頭を下げ、一言、礼を述べる。 いつも俺をバカにしていた会社の連中、スーパーで俺を見下して笑っていた連中、そして母親。 お前達が俺を見る目が、いつかお前達を見返したいという執念が、俺をここまで突き動かしてくれた。 今はただ、感謝の気持ちで一杯だ。 机の上に登り、こちらに正面を向けて横たわるSuKimaモニタをみつめる。 そこには、あの絵師さんが描いた画像も映し出されている。 俺に奴らを呼び寄せる術を教えてくれた人。 一時とはいえ、あなたを恨んだ事を許して欲しい。 あなたがいなければ、俺の人生には何の意味も無く、生ける屍も同然の生だった。 どれだけ感謝をしても、感謝し切れない。 自ら依り代を買って出てくれたスーパーの饅頭達にも礼。 多くの饅頭を犠牲にしてしまった。 だが、その犠牲は決して無駄ではない。 饅頭達は人間の皮下脂肪や糞尿に変わる下らない責務から解放されたのだ。 不思議饅頭として生まれ変わり、俺に虐待されるという崇高な使命を与えられたことで。 「長かった…だが、それも終わりだ…いよいよお前らも年貢の納め時だ……クソ饅頭共おおぉ!!!!」 俺は、高らかに雄叫びを上げると、机の上から思い切り飛んだ。 空中で体を捻り、その身をコマのように回転させながら。 いつもの2倍のジャンプ。3倍の回転。繰り出すは全体重をかけた両足でのキック。 床の上で俺を待ち受ける解放の門 ─ SuKimaモニタ ─ めがけて。 ◇ ◇ ◇ 「くそっ! くそっ! くそっ! くそっ! くそっ! くそっ! くそおおおっ!!」 饅頭の詰まったずっしりと重い袋を、床に転がったモニタに叩きつける。 更にモニタを5台破壊していた。 今叩いているのが、もうすぐ6台目になるのだろう。 袋の中の饅頭が潰れたのか、隙間から餡子が飛び散り始めるが、それでも叩きつけるのを止めない。 「出ろっ!! 出ろっ!! 出てっ! っこいやああぁぁっ!!」 バリッ!! モニタが壊れるより先に、袋が破れて中身が派手にブチ撒かれる。 袋の中で潰れ、ひしゃげ、千切れていた饅頭の残骸が部屋一杯に散らばる。 途端に甘い匂いが立ち込め、俺の鼻腔をくすぐった。 不思議饅頭共は、いまだこちらの世界に出てこない。 本当なら、今この部屋に立ちこめる餡子の匂いは、奴らの恐怖と絶望に満ちた餡子の匂いの筈なのに。 漂ってくるのは、単なる駄饅頭の餡子の匂いだけだ。 出てこない。出てこない。出てこない。出てこない。出てこない。出てこない。出てこない…! 「なんで出てこねえんだよおおっ…!! っこのっ……!!!」 別の袋から小振りな饅頭を一つ掴み取り、無力な自分への怒りに震える右手で頭上に掲げる。 そして、渾身の力でその手を振り下ろし、 「め っ ぽ り が あ あ ぁ あ っ ! ! !」 モニタの中のめっぽりの顔に向けて、小饅頭を思い切り叩き付けた。 しかし、ベシャッと潰れてモニタに貼り付いた饅頭の向こう側では、 怒りに震える俺を嘲笑うかのように、めっぽり達が相も変わらず笑っているままだった… ◇ ◇ ◇ 小判型をした饅頭。 その側面から生えた節足動物を思わせる4対の長細い足がカサカサと蠢き、 人間の生首を思わせる天面に貼り付いた顔で、人間と同じ言葉を喋る、不思議饅頭生物『めっぽり』。 眉をキリッと吊り上げ、根拠の無い自身に満ちたウザい笑顔。 黒髪に、ワサワサと動く6本のもみあげと大きな黒いリボンが特徴的なのは、 お馴染み、『めっぽりれんれん』 れんれんと同じくウザい笑顔を浮かべる相方は、金髪と真っ赤なお帽子が特徴。 もはや説明不要であろう、『めっぽりまさる』 めっぽりした表情を浮かべる二匹のめっぽり。 SSでよく"ビート板サイズ"と形容される大きさの成体めっぽりだ。 その二匹のめっぽりに見守られながら、二匹の姿をそのまま縮小コピーし、 縮んだ分だけ愛らしさとウザさを凝縮したような物体がピトンピトンと跳ねている。 幼児用サンダルサイズの子めっぽりまさると、 生まれたばかりなのであろう、まだゴキブリサイズの三匹の赤めっぽりれんれんだ。 俺の愛するめっぽり共。 俺に虐待されるために存在するめっぽり共。 奴らがモニタの中で笑顔を浮かべ、カサカサと辺りを走り回る。 『めっぽりしていってね!! めめ~ん♪ れんれんのあかちゃん♪ とってもめっぽりしてるよおぉっ♪』 『めめえぇぇ…! まさるのおちびちゃん、とおってもかわいいよおぉ…!!』 『めっ♪ めっ♪ ましゃりゅにいもうちょがうまれたよ! めっぽりちていってね!』 『めっぴょりちていっちぇっにぇ!!』×3 ビキィッ…!! 「ふざけるなあっ!!! なにが "めっぽりしていってね!!" だあぁっ!! めっぽりなんかさせてやるかああぁぁっ!! 早くそこから出てきやがれえええぇぇっ!!!」 動画の中のめっぽり共の脳天気な台詞にカッとなった俺は、饅頭の詰まった袋を掴み取る。 袋を頭上でグルングルンと振り回してから、その遠心力を下方向にねじ曲げ、重力を乗せてモニタに叩きつける。 夢中で二回、三回と叩きつけている内に、めっぽり共の声の調子が変わった。 『めぽっ!? めぽおっ!! いだいよおっ! や、やめてっ! れんれんにいだいことじないでええぇ!!』 『めびいいぃ! まじゃりゅのおめめがみえにゃいよおぉ!! まっぐりゃだよおぉ! おちょうじゃあん!』 『めんやー!! りぇんりぇんのあんよしゃんがー! もうかさかさできにゃいー!』 『りぇんりぇんをたべにゃいでええぇ!! おちょうしゃんたしゅけちぇえぇ!!』 『もっちょ…めっぴょり……ちたかった……』 『めぎいぃぃ! ばざるのあんよざん! めっぽりしないでうごいでよおぉ!! おぢびぢゃんじんじゃうよおぉ!』 しあわせめっぽり家族の情景から一変。 キリライダーさんの描く美しくも凄惨な虐待シーンが映し出され、めっぽりの悲痛な声が俺の脳髄を揺らす。 OK…OK…OK! そうだ! そうだ! それでいい! お前達は悲鳴を上げている時がもっとも美しくめっぽりと輝いているよ… ああ…可愛いよ…めっぽり……めひひ…めひひひひ…! ……… 奴らの悲鳴を聞いて落ち着きを取り戻した俺は、再び作業に戻るべく饅頭の入った袋に手を伸ばす。 激情に任せて饅頭を浪費しまくった結果、あれだけ買ってきた饅頭もついに残り一袋になってしまった。 次でダメなら、また買い足してこなければならない。 そう考えながら袋を持ち上げると、予想していたズッシリとした重量の感触が伝わって来ない。 力を込めようとした俺の右手がスカッと宙を掻く。 「……?」 不思議に思って手に持った袋に目を向ける。 …カラだ。 半透明の袋の中には僅かな空気しか入っていない。 袋の口はきちんと縛ってあるのにと訝しがりながらよく見てみると、袋の底に大きな穴が開いていた。 周りを見回し、視線が部屋の隅を向いたところで、ようやく合点がいった。 そこでは、いつの間にか袋を喰い破って抜け出した饅頭達が、一固まりになって震えていたのだ。 「ゆうぅぅ…きょわいよぉぉ!」 「ゆぐっ…! れいみゅのいもうとがぁ…」 「やぢゃよぉ…まりちゃ…ちぬのやぢゃよぉ…!」 「いもうとたちは、おねえちゃんがまもるよ…! ぜったいまもるよ…!」ぷくー 「……チッ……」 余計な手間をかけさせられる事に苛立ちながら、饅頭回収にかかる。 「ゆやあぁあん! こっちくるにゃあぁぁ!!」 「ゆうぅ!? もうやべでええぇぇ!! まりしゃたちにひどいことしないでよおぉ!?」 「ゆんやー!! おにいしゃんこわいよおぉぉ!」 「おにいじゃああん!! ゆっくりじっででよおおぉ?!」 クソッ…! まただ! また「もうやめて」だの何だの雑音が聞こえ始めやがった。集中力が持続しなくなってきている。 舌打ちを繰り返しながら、壁際で中身ごと潰れている袋をチラと見やる。 あの中に入っていた雑音垂れ流し饅頭共のように、また蹴りでも入れて黙らせてやるか? …いや、ダメだ。もうこれが最後の饅頭だ。大事に使おう。 再び心を落ち着かせて、雑音を閉め出そうとするが、饅頭達の声が煩くて集中ができない。 イライラしている俺の前に、ソフトボール大のジャンボ饅頭が二個、おずおずと這い進んで来た。 「お、おにいしゃん! ゆ、ゆっぐぢ! ゆっぐぢまりしゃのおはなしきいでね?! ま、まりしゃだぢ、なんにもわるいことしてないよ?! いいゆっぐぢだよ!?」 「だ、だかられいみゅたちをころざないでぇ…! れいみゅたち、ゆっくりしたいだけだよ…!」 砂糖水を流す饅頭達を見ていると、イライラが沸々と煮えたぎる怒りへと変わる。 そうだ。全てはこいつらが…こいつらさえ… 「……なん…でだ……?」 「「ゆ、ゆ…?」」 「…なんで……」 「「ゆ…? な、なにが…」」 「なんでめっぽりにならないんだよおおぉっ!? 同じ饅頭だろがああぁっっ!?」 「「「「「「じらな゛いよ゛おおおぉぉぉっっ?!?!」」」」」」 「「「「「「めっぴょりってなんにゃのおおおぉぉぉっ?!?!」」」」」」 ブチョッ 「ゆぶっ」 片方の饅頭を思い切り踏み潰して、床の染みに変える。 飛び出した餡子が飛び散り、横にいた饅頭にも降りかかる。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ…ゆ゛っ………ゆ゛っ……………………」 「れ、れいびゅううぅうぅ?!?! どっ、どーじでごんなことじゅるのおおぉ?!?!」 …いかん…また熱くなった…反省反省。 めっぽりの目玉に使うオマケの飴玉みたいなのまで潰してしまった。勿体ない。 飴玉っぽい見た目だけど、結構柔らかくてデリケートだからな。 傷が付く前に回収しておこう。 「ゆっ…な、なにしゅるの…?! やめでね…! いだっ! や、やめちぇ…! いぢゃいっ!? やめちぇ…ゆぎゃあああぁあぁ!! ばりじゃのおめめがああぁああぁ!!!」 「まりしゃおねーちゃんのおめめぎゃあああぁあぁ!?!?」 「ゆぴぃ?! こっちきょないでええぇ!!」 「やめちぇええぇえぇ!!」 「ゆんやああぁ!!」 「ゆびいいいぃぃ!! いぢゃいいいぃ!!」 「おめめしゃんとりゃないでえぇ!! ゆぎぴいぃっ!?」 「れいみゅのいもーちょのきらきらかがやくおめめしゃんがあああぁ!!! 「ゆえええん!! まっくりゃなのぢえぇえぇ!! きょわいのじぇええぇ!!」 「なんにぼ びえないいいいぃ!!!」 「たちけちぇええ!! おにぇえちゃああん!! どこにいりゅのおぉ?!」 よし。飴玉はこれくらいあればいいか。 …さあ…やるぞ…こんなところで挫けてなんかいられない… 先程、俺に向かって雑音を聞かせてきた饅頭を鷲掴む。 帽子みたいな形をした包装を外し、めっぽりの皮にするための饅頭生地を剥ぎ取ろうとするが、 俺の手の中でぶりんぶりんと激しく暴れるので、掴みづらい。 「や、やめでねっ! まりしゃにひどいこどじないでねっ!? な、なりまじゅっ! なりまじゅがらっ!」 「……あ?」 「まりしゃ、なりまじゅからっ! めっくりになりまじゅうっ! だがりゃもう、ひぢょいことぢないでねっ!? ねっ?! め、めっくり…! まりしゃはめっくりだよっ!? めっくりじでいっでねっ!? めっくり! めっくりぃ!」 「………」 ギリリ 「ゆぶぶぶぶ…! お、おにしゃ…! くりゅし…! まりしゃのおなか…! おしゃないで…!! ゆぎゅぎゅ! ちゅ、ちゅぶれぢゃううぅうぅ!!! やめぢぇえぇぇ!! まり…ゆぎゅうぅ!! まっ、まりしゃはめっぐりだがらねっ?! だ、だかりゃいじめないでねっ?! めっぐり!! めっぐりじでねっ!? め、めっぐりじでっでよおおぉ!! めっぐ 「『めっくり』じゃねええええぇぇ!! このパチモンがあああぁっっ!!!」 「ちゅぶれぶぽおうっ!?!?」 クソがぁ……! どいつも…こいつも…! 「バカに…しやがって……バカにしやがって…! バカにしやがってええぇ!!!」 手の中で破裂した饅頭の残骸を、壁際で震えている饅頭に向かって叩きつけるように投げつける。 俺は狂ってなんかいない…俺は正しい…俺はめっぽりの神になる男だ!! それを証明してやる…! 俺をバカにした奴らの鼻っ面に虐死しためっぽりの死骸を叩きつけてやる!! 「待ってろよ! めっぽり共ぉ…! 絶対に…絶対にこの世界に引きずり込んでやる!! 虐待…してやる…たっぷり虐待してやるからなあぁ! それまで俺は諦めないっ! 諦めないぞっ…! 絶対にだあぁっ!!」 「「「「「ゆんやあぁぁ!! あきらめちぇよおおぉぉぉ!!!!」」」」」 ~ 数年後 ~ 遂にお兄さんは、饅頭200個分の餡子を煮詰めた濃縮餡子を使った召還法を確立。 思う存分虐待を楽しんですっきりーした後は、人が変わったように真面目に働くようになりました。 近々、趣味を通じて知り合った素敵な女性と結婚する予定です。 先月は、お母さんを連れて親子水いらずで旅行へ出かけ、 今まで迷惑と心労をかけ続けた事を心より詫び、お母さんにも許して貰えたそうです。 最近では親子で一緒にめ虐を楽しむようになったとか。 ========== あとがき 見え見えだったでしょうか? by お説教されたいあき これまでに書いたもの anko315 『たくすぃー』 anko433 『ゆっくりで漬け物』 anko502 『ただ一つの』 anko572 『えーき様とお義母様』 anko621 『「餡子ンペ09」ゆっくりの電車』 anko751 『「餡子ンペ09」れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ』 ~anko753 anko768 『ゆっくり達のクリスマス』 anko1547 『まりしゃと遊ぼう!』 anko1630 『うつくしくってごめんね!』(餡コンペ10春) 俺…このSS書き終えたら、wikiあきに専用ページ作ってもらうんだ… 挿絵:くらっかーあき 挿絵:
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anko4100 ソフトボールHardCore 【ギャグ】 anko4101 ゆっくりと犬のう○ち袋 【虐待】 anko4102 ぶぶぶぶ 【いじめ】 anko4103 ゆっくりと人間は違う 【制裁】 anko4104 続・どMとどS 【愛で】 anko4105 ゆっくり理解させてみた 【愛で】 anko4106 ゆっくり教材Vol.5『ペットとちぇんと野良と飼い主』 【考証】 anko4107 れいむ 【愛で】 anko4108 ぱちゅりーの居場所 【観察】 anko4109 ゆっくり・ボール・ラン 2nd STAGE 【パロディ】 anko4110 れいむは、今日もゆっくりしていた。 【小ネタ】 anko4112 まりさは、今日もお仕置きされている。 【愛で】 anko4113 白い悪魔事件 【いじめ】 anko4114 れいむの成長日記 1日目 【観察】 anko4115 呪われゆっくり 【いじめ】【挿絵】 anko4116 放置飼い~赤れいむ編~ 【虐待】 anko4117 続続おちびちゃんとちゅっちゅ 【愛で】 anko4118 鳥と猫と人とゆっくりと卑怯 【愛で】 anko4119 ゆっくりと香辛料 【制裁】 anko4120 人間とゆっくり 【小ネタ】 anko4121 まりちゃつむり 【いじめ】【挿絵】 anko4122 てーとありしゅのおかーさん 【愛で】 anko4123 賢い野生ゆっくり ※r2 【制裁】 anko4124 野良ゆっくりは ゆっくりしている 【考証】 anko4125 約束は守ったよ? 【虐待】 anko4126 choice 【虐待】 anko4127 彼らは調子に乗りすぎた 【虐待】 anko4128 ちぇん CV:若本規夫 【ギャグ】【挿絵】 anko4129 でいぶvs芸術鬼威惨 【制裁】 anko4130 くそったれいむ 【いじめ】 anko4131 トランポリンゆっくり 【いじめ】 anko4132 メーデーお兄さん 【愛で】 anko4133 ちぇんのわくわく加工所見学 【虐待】 anko4134 ドスはみんなでゆっくりしたい:英ゆん編 【虐待】 anko4135 ドスはみんなでゆっくりしたい:塵袋編 【虐待】 anko4136 日常風景。 【制裁】 anko4137 おためしリアルありす 【小ネタ】 anko4138 あるみょんの話 【小ネタ】 anko4139 あるみょんの話 同時通訳編 【小ネタ】 anko4140 れいむの成長日記 2日目 【愛で】 anko4141 れいむの成長日記 3日目 【愛で】 anko4142 足焼きれいむと虫さん 【虐待】 anko4143 地主お兄さんの日常 【観察】 anko4144 いたさなえ 【いじめ】 anko4145 地主お兄さんの通勤~電車の中のれいむ~ 【観察】 anko4146 アーマードうどんげ3 anko4147 ぐんまりさ迷子になる 【観察】 anko4148 すごいね! 【虐待】 anko4149 慧音のドス退治 【制裁】 anko4150 大好き実ゆ 【虐待】【挿絵】 anko4151 僕は嘘をつかない 【愛で】 anko4152 ゆっくりのびねじってね 【虐待】【挿絵】 anko4153 愛された果てに 【観察】 anko4154 ゆくり教育 【ギャグ】 anko4155 暴風警報につき anko4156 『ゆー蘭』 【虐待】 anko4157 「価値観の違い」 anko4158 お帽子さん、外れてね 【愛で】 anko4159 深夜のおやつ 【愛で】 anko4160 人間ゆっくりぱちぇりー 【愛で】 anko4161 初めての正義の味方 【愛で】 anko4162 母性の果てに 【観察】 anko4163 ゆっくり界と人間界 【観察】 anko4164 野良ゆが虐待お兄さんに目をつけられる話1 【虐待】 anko4165 こおりはゆっくりできる? anko4166 食欲旺盛 【虐待】 anko4167 コンポスト入門 【いじめ】【挿絵】 anko4168 ゆっくり食べようえだまりちゃ 【虐待】【挿絵】 anko4169 続おしかけ 【愛で】 anko4170 むっきゅーさん 【パロディ】 anko4171 ゆっくりそだっていってね!(前編) 【制裁】 anko4172 さいきょうっのこそだて 【虐待】 anko4173 れいむとおいわい 【いじめ】 anko4174 そして何かが吸い込まれた 【考証】 anko4175 謙遜なようむ 【愛で】 anko4176 だいりしゅっさん 前編 【制裁】 anko4177 熱い夜 【ギャグ】 anko4178 平日のおやつ 【愛で】 anko4179 ありすのゆん生 【制裁】 anko4180 非加工所 【虐待】 anko4181 ゆっくりしたい 【いじめ】 anko4182 穴倉 【虐待】 anko4183 ドスのハニーハント 【制裁】【挿絵】 anko4184 捕食者としての人間 【考証】 anko4185 会話のない家族 【いじめ】【挿絵】 anko4186 ばかじゃないもん 【愛で】【挿絵】 anko4187 たかしとゆっくり anko4188 ストロベリー・アイスクリーム 【制裁】 anko4189 ご近所さん物語 anko4190 茎はゆっくりできない 【虐待】 anko4191 でいぶvs最凶まりさ 【虐待】 anko4192 お掃除まりちゃ 【いじめ】 anko4193 BGM 真ゲッターロボ 【ギャグ】 anko4194 ゆっくりお米をそだてるよ!にとり農法 【小ネタ】【挿絵】 anko4195 おうち宣言ストッパアッー! 【観察】 anko4196 おうち宣言するとたーべちゃーうぞー★ 【虐待】 anko4197 茎はゆっくりできない+α 【虐待】 anko4198 飼いと野良の違い 【考証】 anko4199 おたべなさいをしたれいむ 【虐待】【挿絵】
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No.2れいむちゃん メイン(笑) 美鈴 まともに使えるサブ れーむ みょん 小町とか 永遠の素人ランダマー基本動作くらいなら全キャラ余裕です。 * 中国は禁句なんだからね!言うなよぜってーだぞ!ぜってーだかんな! 中国 by rokujo
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このSSはフィクションなのぜ。実在の人物及び団体とは一切関係ないのぜ。 鬼田製菓が製造販売する洋風煎餅『ハッピー○ーン』。 この煎餅にまぶされたハッピーパウダーをゆっくりが摂取すると、 酩酊・多幸感・幻覚などがもたらされるという。 またその一方で強力な依存性と毒性も確認されており、飼いゆっくりに与えるのは禁忌となっている。 「ゆはぁっ…ゆはぁっ……しあわせさん…しあわせさんを…」 まりさの餌をハッピー○ーンに変えてからこれで一週間。 頬はこけ、歯は欠け、顔は青白く、目の焦点は合っていない。 銀バッジの付いた自慢のお帽子までなぜかボロボロだ。 「ゆっくりしてないでしあわせさんをよこすのぜ…このどれゆ゛っ」 「…奴隷じゃない。お兄さんだ。」 銀バッジ取得の教育を受けたといっても所詮は餡子脳。禁断症状を起こせばこんなものか。 中枢餡をブスリとやられて死にかけのまりさを鞄に入れ、新たな実験に取りかかることにした。 ハッピー○ーンをそのまま餌にしたのでは芸が無い。 ハッピーなエキスを凝縮し、ゆっくりの餡子に直接注入したらどうなるだろう。 早速、コンビニへ行って『パウダー200%ハッピー○ーン』を買い込んだ。 片っ端から開封してパウダーだけをかき集め、限界までお湯に溶かしてみる。 …「ハッピーパウダー飽和水溶液」の完成だ。 これを注射器に入れて、いざ出陣。 ─とある公園 「ゆっくりしていってねー!」 ゆっくりが隠れてそうな茂みに向かって声をかけてみる。 しばらくするとベンチの奥の植込みから4匹のゆっくりがガサゴソと姿を現した。 バレーボール大のれいむとまりさが1匹ずつ。 さらに2匹の影に隠れるように、ピンポン玉大の赤れいむと赤まりさが1匹ずつ。 今やこの国のどこででも見られる、最も典型的なゆっくり4匹家族だ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「はいはいゆっくりゆっくり。」 毎度のやり取りだ。 「ゆっ!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「…さあてどうだろうね。子供用の玩具なら持ってるけど見てみるかい?」 俺はゆっくり達に「喋る置き物」を見せてやった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 置き物といっても、中枢餡を傷付けた瀕死のハッピー中毒まりさだが。 「ゆっ………ゆんやあぁぁぁああ!」 ちょっと刺激が強過ぎたか。親ゆっくり2匹は縦に伸びて叫び声を上げた。 赤れいむはおそろちーちーを漏らし、赤まりさは帽子深く被ってプルプル震えている。 「れいむ!このにんげんさんはゆっくりできないよ!」 「ゆゆっ!おちびちゃんたちはおくちのなかにゆっくりかくれてね!」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」 赤ゆ2匹はゆっきゅゆっきゅと跳ねながら、母れいむの舌を伝って口の中へ入っていく。 「…これでもうにんげんさんはてだしできないよ!てっぺきでごめんね!」 「おきゃーしゃんのおくちのなきゃはしゅごくゆっくちしちぇるにぇ!」 「おうちみちゃいだじぇ!ここをまりちゃのゆっくちぷれいちゅにしゅるのじぇ!」 赤ゆ達はご満悦のようだ。 「ゆっくりできないにんげんさんははんっせいっしてね!ぷくー」 「ぷくぅー」 「…ゆゆっ?なんだきゃおうちがひりょくなっちゃのじぇ!」 「れいみゅたちもぷきゅ~しゅりゅよ! ゆっぐぅ~ ぷきゅきゅ~」 「「ぷきゅぅ~」」 4匹揃って一斉ぷくー攻撃…。沸き上がるビキビキをぐっと堪える。 「うわー、かんっぺきっな守りだね。これじゃ虐められないや。」 「ゆっへん!おくちがーどとぷくーはむてきなんだよ!ゆっくりあやまってね!」 「…悪かった。子供には手を出さないと約束する。お詫びにお菓子をあげるから許してくれ。」 「ゆゆっ!なかなかいいこころがけだね!たくさんでいいよ!」 目の前に安物のチョコレートをばら撒くと、2匹の視線がチョコレートに集中した。 注意が逸れた瞬間、母れいむの後頭部に注射針を刺し込み、素早く「エキス」を注入する。 「ゆ゛っ」 「…じゃあな。ゆっくりしあわせーにな。」 俺は足早にその場を立ち去ると、物陰から改めてゆっくり達の様子を窺ってみた。 「ゆっゆおー!にんげんさんにかったよ!れいむ、おちびちゃんをだしてあげ……れいむ?」 「…ゆっぴぃ?ゆひゆひひっ ゆっぽぉ~」 早くも母れいむの様子がおかしい。素晴らしい即効性だ。 「ど、どうしたのぜ!れいむしっかりするのぜ!」 「ゆぺぇ~ あみゃあみゃいっぴゃい~ あみゃあみゃ~」 母れいむは父まりさの問いかけに応じる様子も無く、 ギラギラした異様な目つきでチョコレートを凝視している。 「…おきゃーしゃんどうしちゃの?」 「ゆゆっ?なんだきゃあんよさんがねーちゃねーちゃしてきちゃのじぇ?」 「ゆわぁ~い!ゆっちゃり!ゆっちゃり!」 口内に多量の砂糖水が分泌され始めた。 赤ゆ達は呑気なもので、母れいむが喋っている隙に外へ出れば良いものを、 突如発生した泥遊びに夢中のようだ。 「ゆっぴょぴょお~?あみゃあみゃ?」 赤ゆのふやけたあんよから仄かな甘味が染み出してくる。 母れいむは眼前にあるそれとは別の「あまあま」に気付いたのか、 薄ら笑いを浮かべて口をもごもご動かし始めた。 「ゆきゃっ!すべりだいしゃんみちゃい!」 「こーりょこーりょ!」 母れいむはまず「あまあま」を舌の上で飴玉のように転がしてみた。 すると徐々に甘味が強まっていく。こうなるともう止まらない。 ふやけた「あまあま」を舌と上顎の間に挟み込む。 「ゆゆっ?まりちゃのおうちがせまくなったのじぇ!」 「ゆぎゅっ!ぎゅるじいぃぃいいい」 「あまあま」から漏れ出した何かを舐め取ると、口中に至福の甘味が広がった。 気を良くした母れいむはさらに圧力を加えていく。 「おぎゃーじゃぁぁあん!おぞどにだぢでぇぇぇ」 「ゆ゛んや゛あぁぁあ!ちゅぶれりゅぅぅ」 赤ゆの声はもう母れいむには届かない。 いや、届いていてもハッピー中毒と禁断の甘味の前では無力なのか。 「おきゃ……しゃ…どぼっ……ゆ゛っ……」 「…もっぢょ……ゆ゛っ……ぐ…………」 赤ゆ達は薄れゆく意識の中で何を思ったのだろう。 体中の穴という穴から漏れ出した餡子を母親に舐め取られ、やがて失餡死した。 「むーぴゃ♪むーぴゃ♪あみゃあみゃ~」 「どぼじでおちびちゃんたべちゃうのおおおおお!」 おわり 【あとがき】 まりさの「どぼじで」オチはギャグっぽくて好きです。 ちなみに元ネタはディオと母子のエピソード。ズギュンズギュン。 過去の作品 anko1997 植物ゆっくりオブジェ anko2006 植物ゆっくりオブジェと愉快な子供達
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多数の設定お借りさせていただいています セリフすっきり 出産要素 家族 ・赤ちゃん ***************************************************************** 赤ちゃんのゆっくり返し ***************************************************************** れいむは今までのゆん生を振りかえっていた。 やさしいおかあさんとたくましいおとうさん、 たくさんのおねえちゃんたくさんのいもうとに囲まれてゆっくりした日々。 おさんぽ途中に出会いひとめぼれしたまりさ。 思い切って告白したらまりさも好きと言ってくれた感動。 大好きなまりさと一緒にいれる毎日。 なら次にすることは…。 「ねぇ、まりさ」 「なに?れいむ」 「れいむたちゆっくりしてるけどさ」 「うん」 「あかちゃんがいればもっとゆっくりできない?」 「そうだね!あかちゃんがいればとってもゆっくりできるね!」 「じゃあ…しよ?きて…まりさ…」 「うんいまいくよ…」 「「んほおおおおぉぉぉぉぉ!!すっきりいいいぃぃぃぃぃ!!!」」 真夜中の山に響くゆっくりのクライマックスな叫び声。 行為が終わった後自分のお腹がふっくらと膨らんでいくのが目に見えた。 「ゆゆ?れいむにんっしんっしたよ!」 「やったねれいむ!かぞくがふえるよ!」 赤ちゃんが生まれたらどんなことをしようか。 一緒にいっぱいゆっくりできるご飯をむしゃむしゃしよう、 一緒にいっぱいおひさまに当たってぽかぽかしよう、 一緒にいっぱいおうたをうたおう、 一緒にいっぱいすりすりしよう、 一緒に…。 れいむが未来に見えるすばらしいゆっくりエブリディを想像している横で、 まりさはすっきり疲れか早々に寝込んでいた。 にんしんっしたその日かられいむは無性にお腹が減るのを感じた。 きっと赤ちゃんに栄養を欲しがっているんだ。 まりさにゆっくりできるご飯をたくさん取ってきてもらおう。 「あかちゃんのためにおいしいごはんをたくさんとってきてね!!」 「まりさがんばるね!」 まりさが外で頑張っている間は何をしようか。 そうだ、赤ちゃんがゆっくりできるようにおうたを歌ってあげよう。 「ゆっくりそだってね!あかちゃん!」 「ゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪」 おうたを歌い疲れて眠ってしまっていたところにまりさが帰ってきた。 帽子にたくさんのご飯が詰まっている。むしゃむしゃして赤ちゃんをゆっくり育てよう。 「ただいまれいむ!あかちゃんのためにたくさんむしゃむしゃしてね!」 「これであかちゃんがゆっくりできるよ!」 「じゃあいただきますを「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「もうぽんぽんいっぱいだよ!あかちゃんゆっくりそだってね!」 たくさんご飯を食べたらもうお空が真っ暗。 早く寝ないと赤ちゃんゆっくりできないよね。 「おやすみ!まりさ!あしたもゆっくりしていってね!」 赤ちゃんのため食っては歌い食っては眠りの生活が始まってからしばらくしたら、 お腹がにんっしんっする前の自分が入ってしまいそうなくらい膨らんだ。 たまに自分の意思に反してお腹がピクピクと動くことも増えてきた。 もうすぐ赤ちゃんに会える、とってもゆっくりした赤ちゃんに…。 そのためにはたくさんゆっくりしてあげないと! 「まりさ!きょうもよろしくね!」 「…うん!まりさがんばるよ!!」 ***** ところ変わってれいむのお腹の中。 すでに形の整った5匹の赤ちゃんが相談していた。 「おきゃーしゃんとっちぇもゆっくちしてるね!」 「ゆっくり♪ゆっくり♪」 「そのゆっくちにまりしゃはどうやっておかえちしようか」 「ゆゆーん♪そんにゃのかわいいれいみゅをみればいちころだよ!」 「まりしゃそれだけじゃたりないようなきがするよ!」 「「「「ゆゆ??」」」」 一番の親孝行はゆっくりしている自分を見せることだ。 それだけではいけないのか?他の赤ちゃんが驚いた。 「きょれだけおきゃーしゃんがゆっくちちてくれてるんだもん! まりしゃたちをみるだけじゃおかえちにならにゃいかも」 「「「「ゆー……」」」」 とってもゆっくりしているお母さん。 そんなお母さんをゆっくりさせるには自分を見せる以外のワンポイントゆっくりが必要。 そう感じて赤ゆっくりたちは考え込んだ。 「れいみゅゆっくちおもいついちゃよ!」 「どんにゃことしゅるの?」 「れいみゅきゃわいいことびゃをつかっちぇゆっくちしゃせてあげりゅよ!」 「どんにゃの?ゆっくちおしえちぇね!」 「こうやりゅんだりょ!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 「ゆゆーん♪しゅっごくゆっくちちてるね!」 赤れいむは舌っ足らずなしゃべりを磨きにかけることで、 母性本能ならぬゆっくり本能を刺激しようと考えた。 「まりしゃはわいるどにいくよ!」 「ゆっくちきににゃる!」 「『ゆっくちちていってね!』いがいのあいさつをしゅるよ!」 「かっきょいいね!」 赤まりさは『ゆっくちちていってね!』と言わずに、 自分オリジナルの挨拶を実行することで、 今までの赤ちゃんとは何かが違う感を出すことにした。 「れいみゅはへんかきゅうだよ!」 「へんきゃきゅう?」 「うちろからうまれりゅよ!」 「おきゃーしゃんもびっくちだね!」 普通ゆっくりの胎生型出産の場合、赤ちゃんは顔から出てくる。 赤れいむはその法則を覆すことによって、 お母さんに新鮮な驚きを与えようと考えた。 「まりしゃはかきぇにでるよ!」 「どんなかきぇかおちえてね!」 「おきゃざりをもっちぇいかないよ!!」 「ゆゆ!それはゆっくちできないよ!」 「ふっふっふ…まりしゃはちゃんとかんがえちぇるよ!」 飾りのないゆっくりは他のゆっくりにゆっくりできないゆっくりと言われる。 赤まりさはあえて飾りを捨てることにより、 この子はお母さんがゆっくりさせてあげなきゃだめだ、 と使命感を煽るように演出しようとした。 「れいみゅはなにかおもいついた?」 「れいみゅは…ひみちゅだよ!」 「もったいぶりゃないでゆっくちおちえてね!!」 「あとのおたのちみだよ!」 ***** 「むーしゃ!むーしゃ!しあわうっ!!」 まりさの持ってきたご飯を食べた直後、 お腹に今までに感じたことのない強い痛みが走った。 「いだ゛い゛い゛い゛!!れいむのぼんぼんさけちゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 「れいむ!あかちゃんがうまれるよ!がんばって!!」 れいむの顎のあたりにぽっかり穴が空き、そこから赤ちゃんが見える。 しかしその穴は狭い、そこへその穴の2倍以上の大きさの赤ちゃんが通ろうとしている。 皮が引っ張られ今にもちぎれそう、痛みがゆっくりとゆっくりとれいむを蝕んでいく。 「うぐぐぐぐぐぐ!!」 「れいむ!あかちゃんだよ!あかちゃんのかおがみえたよ!!」 痛みで意識を失いそうな中、赤ちゃんという単語だけがれいむの精神をつないでいた。 早く赤ちゃんに会いたい!この思いがれいむの体を無意識に動かしていた。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!」 「れいむ!もうすぐだよ!あかちゃんでてくるよ!」 ポンッ! その音と共にれいむを蝕んでいた痛みが急速に引いていった。 ようやく辺りを見回す余裕を得られたれいむが見たものは…。 つぶらなおめめ、かわいいお口、しっとりと黒い髪に、 蝶のような大きなリボンを結んでいる。 まるで自分を見ているように思えるほどれいむに似た赤ちゃんだ。 赤ちゃんを産んだらまず何をするか、挨拶だ。 「ゆっくりしていってね!」とお互いに言いあうことではじめて、 お互いにゆっくりできる存在と認識することができる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 どうもおかしい。 うまくしゃべれない赤ちゃんでも「ゆっくちちていってね」くらいは言えるはずだ。 なのにこの赤ちゃんはそれすら言えてない。 これは聞き違いなんだ、もう一度やり直して…。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!! ゆゆ?おきゃあしゃんっはちょおうっちぇもぅゆっきゅちちちぇりゅにぇえ!! きゃひゃいひれいみゅをみちぇみょうぅちょゆっきゅちちちぇいっっち」 「うまくしゃべれないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「ゆべっ!」 なかなな挨拶ができない赤れいむにしびれを切らしたまりさは、 赤ゆっくりにあんよの一撃をくらわせる。 「みゃぢゃ…ゆっきゅち…ちちぇにゃいにょに…」 「ゆっくりしね!」 ギリギリ息があった赤れいむにとどめの一撃が炸裂。 あまりにも展開が早すぎてれいむの餡子は付いていけない。 そして、まりさの下につぶれている赤れいむを見つけた。 なんで?なんで?なんで?なんで? (「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」) 「ど…」 (「すーりすーり!おかあさんのほっぺとってもぽかぽかさんだよ!」) 「どぼじで…」 (「おかーさんのことだーいすきだよ!」) 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「ちゃんとしゃべれないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 ちゃんとしゃべれなくってこれから練習していけばいいじゃない。 ゆっくり見守っていけばいいじゃない。 それなのに…それなのに…それなのに…。 「れいむ!またあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!」 初回に穴がある程度広がったおかげか、 二回目の出産はそれほど痛みを感じなかったが、やはり慣れるものではない。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!」 ポンッ! 次に産まれてきたのは、 りりしい瞳、輝く金髪の上に形の良い山高帽をちょこんと乗っけた、 愛するまりさそっくりの赤ちゃん。 まりさに似てるんだ、だから挨拶もきちんとできるはず。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅ!」 え…? なんで挨拶出来ないのだろう。 もしかしてれいむのことを弄んでいるのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅっちゅ!!」 「あいさつをきちんとできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「おーっちぶじ!」 キチンと挨拶が出来ないとまりさに判断された赤まりさは早々に潰されてしまった。 愛するまりさに似た赤ちゃんがあっという間に餡子の塊へと姿を変える。 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「あいさつできないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 挨拶なんて所詮形式的な儀式のようなもの。 それができないがためにいきなり殺されるなんてあまりにも不条理だ。 ゆっくり挨拶を教えることもできたのに…できたのに…できたのに…。 「れいむ!またまたあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ??」ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!! 二回目の出産があれほど楽だったのだから、三回目はもっと楽だろう。 そうたかをくくっていたのだが。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!ゆーゆっゆー!!!」 「どぼじでうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 いくら力んでも赤ちゃんが出てくる気配がない。 まるで赤ちゃんが自発的に出る気がないように。 「れいむ!このあかちゃんおかおがないよ!」 「ぞんなわげないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛?! いだい゛い゛い゛ぼんぼんいだい゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!!」 実に最初の出産の数倍の時間をかけてようやくポンッ!と赤ちゃんが産まれてきた。 その時出産の衝撃で一時的に空を飛ぶ赤ちゃんと一瞬目があったような気が…気のせいだ。。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 ちゃんと挨拶をしてくれた! 今まで挨拶が出来ないからってまりさが赤ちゃんをゆっくりさせちゃったけど、 ちゃんと挨拶できたからもうまりさは怒らないはず。 赤ちゃん、これからもずーっとゆっくりしていってね。 「ところであかちゃん」 「あかちゃんじゃないよ!れいみゅはれいみゅだよ!」 「どうしてうしろからうまれたの?れいむすごくくるしそうだったよ」 「あれはれいみゅがきゃわいくうまれてくるためにしちゃんだよ! とっちぇもゆっくちできちゃでしょ!」 「れいむをくるしめるあかちゃんはゆっくりしね!」 「きゃわいくってごべっ!」 まりさのあんよに潰されて物言わぬ饅頭となる赤れいむ。 何で?今度はちゃんと挨拶してくれたのに何が気に入らなかった? 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「おやをくるしめてはんせいしないあかちゃんはしょうらいゲスかくていだからだよ!」 ゲスになるかなんてこれからの教育次第でゆっくり決まるものじゃないか。 それなのに一回間違ったことをしただけでゲス確定なんて。 その理論ならなら自分はとんでもなくゲスな奴だ。 きっとまりさは焦っているんだ。なだめなきゃ、なだめなきゃ。 「まりざあ゛あ゛あ゛もっどゆっぐりじでよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「そんなことよりまたまたまたあかちゃんがうまれてくるよ!」 「ゆゆ?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 四回目の出産で、さらに先ほど無駄に力んだためか穴はもうガバガバ。 すんなりと産まれてきてくれた。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 良かった。この子もきちんと挨拶できる。 ちゃんと苦しめずに産まれてくれたから、 きっとまりさも赤ちゃんのことを褒めてくれるはず。 このまりさに似たりりしい瞳に輝く金髪にその上にちょこんと乗った山高帽が………ない!? 「かざりがないあかちゃんはゆっくりしね!!」 「ゆべっ!」 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「かざりがないゆっくりはゆっくりできないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! ゆっくりかいのじょうしきでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?」 確かに飾りのないゆっくりはゆっくりできない。誰が誰かわからないからだ。 でもこの赤ちゃんは飾りがなくても確かに自分たちの赤ちゃんということがわかる。 それならば飾りなんて本来の意味での飾りだ。 「さっきからゆっくりできないあかちゃんばかりうんでるね!ばかなの?しぬの?」 「でもまだあとひとりあかちゃんがのこってるよ!」 「ほんとう?だったらゆっくりみせてね!!」 お腹の中にはあと赤ちゃんが一人残っている感覚がある。 最後までゆっくりした赤ちゃんだもの、見ればきっとまりさもゆっくりしてくれる。 そしたら三人で末永くゆっくりしよう。 「あかちゃん!ゆっくりうまれてきてね!!」 ***** 一方れいむのお腹の中では赤れいむがゆっくりしていた。 「あなさんがひらいちゃけどれいみゅはうまれにゃいよ!」 「みんにゃはうまれちゃったけれでも、れいみゅもうまれちゃったら おきゃーしゃんのぽんぽんがさみちくなるからうまれないよ!」 「おきゃーしゃんのなかにずっといる。れいみゅのことがみりぇなくても、 れいみゅがぽんぽんにいるだきぇでおかーしゃんはゆっくちできるんだよ!」 「れいみゅおきゃーしゃんにあえないからさみちいけれども、 おきゃーしゃんをゆっくちできるならがまんしゅるよ!」 「おきゃーしゃんゆっくちしていってね!」 ***** 「あかちゃんはまだ?ゆっくりしすぎだよ?」 「どぼじであがぢゃんうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??」 なぜこんな時に赤ちゃんが産まれてくれないのか、れいむは考えた。 もう赤ちゃんはすでに死んでいる。これはない、確かに赤ちゃんの感覚があった。 赤ちゃんは弱すぎて出ることができない。これもない。手助けすれば絶対出れる。 こうなれば自発的に産まれるのを拒否しているようにしか思えない。 つまり、 「まりさ!あかちゃんはれいむのなかでゆっくりしたりないんだよ! だからあかちゃんのためにたくさんごはんをとってきてね!! 「だまれ…」 「あかちゃんはえいようがたりないとしんじゃうだよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! そんなこともわからないなんてばかなの?しぬの?」 「だまれえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 まりさは何てわがままを言っているんだ。 赤ちゃんはれいむたちをもっとゆっくりさせてくれる存在で、 そのゆっくりのために働くのは至極当然のことであって… 「おばえは!あかちゃんがでぎでがら!ずーっとばりざをえざをどってぐるどうぐみたいにじで! だまにのぞいだらおうだをうだっだりひるねじだりとおばえばっかりゆっぐりじでるじゃないか!!」 「でもれいむがゆっくりしないとあかちゃんは」 「ぞれはおおめにみるどじで!づがれでがえっでぎだばりざに! おばえはいだわりのごどばをがげだごどがあるか?!」 「あがぢゃんがでぎでがらおばえはいづもいづも「これであかちゃんがゆっくりできるよ」 とあがぢゃんのごどばがり!ばりざのごどなんでなーんもみでぐれない!」 「でもあかちゃんはだいじだよ?」 「ほらまだあがぢゃんのごど!!ばりざはおばえのどれいじゃない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛!! じがもぜっがくのあがぢゃんはびんなゆっぐりできないやづら!! ごんなごどになるんだっだらおばえなんがどずっぎりじなげればよがっだ!!!」 「ど、どぼじでぞんなごどいう゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「どうもごうもあるが!!おばえのがおなんでにどどびだぐない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 そう言うとまりさは外に出て行ってしまった。 赤ちゃんのことを大切に思えないなんて恐ろしいほどのゲスだ。 でも今はそんなことより今は赤ちゃんの方が大事だ、早く赤ちゃんのためにむしゃむしゃしないと。 確か貯蔵庫に…。 「どぼじでごはんざんがないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!??」 きっとまりさがこっそり全部食べてしまったんだ。なんてゲス。 仕方ない、ならば自分で動いてご飯を取りに行くしか…。 ん?体が重くて動かない…。 「どぼじでれいぶあるげないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?? これじゃあごはんとりにいげない゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 ご飯をどうしようと考えていたら急に力が抜けてきた。 大きくなった赤ちゃんが今まで以上にれいむの栄養を吸収し始めたのだ。 「あがぢゃんんんんん!ずわないでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! おかあざんじんじゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 あ…目がかすんできた…。 れいむはもうだめなんだ。 赤ちゃん、一緒にすりすりしたかったなー。 「もっどゆっぐりじだがっだ…」 こうしてれいむは赤ちゃんの望み通り、 とーーーーーってもゆっくりすることができたとさ。 終 ***************************************************************** 自分のゆっくりできることを他人にしなさい。 聖ゆっくりの教えを産まれる前から実践できるってすごい。 今まで書いた作品 初めての制裁 僕のうさばらし ゆっくりは死んだ 見せあいっこ ゆっくりの伝道師 妄想お兄さん このSSに感想をつける
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その空間だけが時間が止まったように、くっきりと。 皮膚の色はくすみ、一切動かない。 道端に転がり、誰にも相手されない一個の孤独な死体。 放課後の帰り道。少年二人は道行く途中に成体ゆっくりの死体を発見した。 生き物の死体とは男子児童の心を惹きつける何かがあるのだろう。 だいの大人には「汚らしい」「嫌なものを見てしまった」とだけ思って見過ごされる死体も、子供の心には大きく働きかける。 それは身近に感じてしまった「死」に対する畏怖の念から来るものか。 単純にいつも見ているのと全く違う状態の生き物に興味を示しただけなのか。 元々山に遊びに出かける予定だった彼らは、その亡骸の横に腰を下ろし、じっくりと観察を始めた。 全体として見る限り、目立った外傷が無い。 めでたくも珍しい老衰死、もしくは悲惨なことに過剰に叩かれでもして死んだのだろう。 後者は良くあるパターンである。 ゆっくりの皮は意外に丈夫な為、滅多なことで破れて「餡子がドパァ」とはならない。 何の目的があってか人間の生活圏に踏み入り、叩き、蹴られ、泣く泣く逃走。 その時に人間から受けたダメージが祟り、そこら辺でひっそりと餡子を吐きながら死んでいく。 良くあることなのだ。 それよりも異様なのは、目。これには少年達もすぐに気が付いた。 漫画的で単純な造形ながらもグリグリ動く目玉は、今や一切の生気を持っていない。 地面に沿ってただ真っすぐに、前を見つめている目。 それでもなお何か言いたげに見えるのはその表情の所為か。 口元は半開きで、いまにも何かを喋り出しそうな印象すら受ける。 成体にまで育ったゆっくりは段々と感情に乏しくなると言う。 にへらとしたり、人を馬鹿にしたような顔しか作れなくなるのである。 これもまた人間達にゆっくりが良く思われない理由の一つかもしれない。 しかし表情こそ変わらないものの、悶え苦しんだ形跡はしっかりと残されている。 全身にめり込んだ小石や、それが作ったであろう傷の数々。 強く全身を打ちつけながら転がったのだろう。苦しんだのだろう。 底部以外は耐久力が低いと言われるゆっくりの肌。 さらには体力的にも弱っていることも加えて、いち生物がただの地面に甚振られ続けたのだ。 そうして暴れている間に、ゆっくりお気に入りの黒い帽子は頭から落ちたらしく、数メートル離れた所に転がっていた。 恐らく自分の帽子の状況すら把握できないほどに狂乱していたのだろう。 ちょっと帽子が体から離れただけで、目の色を変えて騒ぎ立てる張本人はもういない。 持ち主を失った帽子が、ただ寂しそうに転がっているだけ。 地面に接地している口元からは、餡子が扇状に伸びている。 死ぬ間際まで餡を吐き続けたのだ。自分の生命を維持できなくなるまで。 よく見れば体が崩壊してしまっていることが分かる。 形があからさまにおかしいのだ。 全体が張りのある球形ではなく、底部や後頭部など、空気が抜けたように凹んでいる。 弱弱しさ、儚さを感じさせる、ゆっくりの変わり果てた姿である。 形を維持できず、萎びて色が黒っぽく変わってしまった肌に一層黒くなっている部分がある。 そのラインは目元から伸び、地面へと続いて水たまりを作っている。 泣いたのだ。 とうとう弱りきって動けなくなり、最期の最期。 もうどうしようも出来なくなって、半笑いのまま、 ゆっくりまりさは泣き、悶え、身を震わせながら中身を吐き続けた。 吐いて吐いて、体が潰れてしまうくらい吐いて初めて、まりさはやっと苦しみから解放された。 ぼよんぼよんとさも軽そうに宙を舞うことのできる巨体は、今やどっしりと地面に横たえられていた。 少年たちは息を飲んだ。 家族を連れてボールのように跳ねるのが面白く、見ていて飽きないゆっくり。 それがこうして微動だにしない今、こうも重々しい物へと変貌するなんて。 「……」 いかにゆっくりとは言えど、一応死体である。 まずは手にした木の枝で突いてみる。 持ち前の皮の弾力は失われており、グニュッと木の枝は体にめり込んだ。 注意して扱う必要がありそうだ。 餡子の付いた枝を放り投げ、覚悟を決めて手で押しこむ。 今度は見た目の印象だけでなく、確かに感じる「重み」 いつも蹴ったり踏んだりして遊んでいたゆっくり。 今は何故だか重い。 横向きになっていたゆっくりは仰向けにひっくり返され、天を仰いだ。 死んでしまって全身を抑えていた皮が伸びきっているのか、顔が引き伸ばされるように広がる。 小馬鹿にしているような顔がぐにゃりと歪んで、少し配置を間違えた福笑いの様になった。 その滑稽な顔に、少年達は顔を綻ばせた。 死亡現場に居合わせたのはまだ年端もいかない少年たち。 頭の中にある「死」という概念も漠然としていて、恐れるに至らない。 そしてゆっくりが事実上饅頭であることは決定的であった。 言ってしまえば単純なことだ。 昆虫を甚振って遊ぶ子供はいつの時代も一定数いるが、彼らが昆虫を遊びの対象にするのは、痛みを連想させる要素がないからである。 血、肉、感情。 それらが見てとれない、感じ取れないゆっくり。さらには動かない死体ではなおさらのこと。 さあ、どのようにして遊ぼうかと彼等が思っていた時。 「ゅー」 「ゅー ゅゅー」 声が聞こえた。 少年達は顔を見合わせる。 今ここには自分達しかいないはずである。 周りにゆっくりの姿は見当たらないし、目の前のこれは確実に死んでいる。 「ゅ…」 しかしこのフィルターを通して聞こえてくるような特徴的な「ゆ」という鳴き声。 それは紛れも無くゆっくりのものであり、確かに目の前から聞こえる。 まさかとは思いながらも彼らは扁平に広がったゆっくりの顎部分に耳を当てる。 ゆっくりからすれば腹に当たる部分である。 くぐもった声。 ゆっくりの声。 そこから打ち立てた予想が正しければ… 「ゆー」 声は先ほどよりもはっきりと少年達の耳に届けられた。 要するに、このゆっくりまりさはお母さんゆっくりであり、身ごもっていたのである。 何の因果か。どうしてこんな安静にするべき時期に出歩いていたのだろうか、と考えてしまうところではあるが、 恐らくは単にお腹の子供のために餌取りにでも出たのだろう。 たったそれだけのことだったが、結果としては自殺行為だった。 慣れない体でゆんしょと野菜を引き抜いている所を見つかり、ゆっくりまりさは訳も分からないまま叩かれた。 (まりさがみつけたおやさいなのに! あかちゃんのために栄養つけなきゃいけないのに!) 身重でサッと逃げだすこともままならない。ならばいっそ人間に立ち向かうのもアリか? そう考えて威嚇しようとするも、いつもとは状況が違うことを思い出す。 沸々と湧き上がって来る反抗心を抑えつつ、ひたすら逃げる方を選択したゆっくりまりさ。 それは一見、懸命な選択だった。 人間側も、殺すことまでは考えていなかった。 とにかくゆっくりを根絶やしにしようとするタイプの人間ではなかったのだ。 いつもより動きが鈍く、それでも必死に逃げる姿を見て、もう懲りただろうと思ったのだろう。 追いかければ殺せるにも関わらず、そうはしなかった。 そこまでしなかった自分を称賛し、畑の主は「森で元気で暮らせよ」と無責任にも呟いた。 結局、ゆっくりまりさは死んだ。 ただ、まりさが死ぬ間際まで悔やんでいたであろう、最悪の事態には至らなかった。 ゆっくりの誕生には謎が多い。 赤ゆっくりの生った茎を母体から切り離しても、砂糖水などで栄養補給を続ければ無事に産まれることが出来るように、 母親と子の、身体上の繋がりはかなり曖昧である。 胎生出産の場合はさらに不明確で、胎内には哺乳類でいう胎盤のような連絡器官が存在しない。 一説には卵胎生出産のように、赤ゆっくりはそれ自体に成長する機能を持ちあわせており、 「未熟な赤ゆっくりが完全になるまで体の中で育てる」と言い表すのが正しいのではないかとも言われている。 そのため、死んだ母体でも安全であれば産まれる落ちることが出来るのだ。 「ゆー」 少年達は活気づいた。 ―中のゆっくりが見てみたい まるで医者にでもなったかのような気分で、彼らは成体まりさの解剖に取り掛かった。 無論、これが哺乳類や鳥類だったならば話は別だっただろう。 あくまで彼らは饅頭で、漏れ出るのは餡子。血とは雲泥の差。 それに動物の死体はすぐに腐敗が始まる上、外傷がないとあらばそれこそ不気味。触るのも憚られる。 しかし、饅頭ならば腐るのには数日を要するだろう。 そして死んだら正真正銘の饅頭なのだから、死体だからと言って非衛生的でもなく、扱いに専門的な知識も必要ない。 よは、これは「解剖」のおままごとであり、いわゆる「解体」だった。 彼らは解剖ツールを取り出した。 はさみやカッターといった文房具の数々。 単純な道具だが、ゆっくり相手には十分な品揃えである。 饅頭皮に刃物は通用しないだろう、等と相談しながら、定規をゆっくりまりさの顎部に差し入れる。 出産時でもないためまむ穴は見えていなかったが、なんとなく定規を使って場所を決め、一気に押し込む。 気分はオペである。 だが、彼らはオペに付きものの綿密な下調べをするつもりなど無かった。 「ユピィ!」 鋭い声が漏れた。 中で生きていた赤ゆっくりのうち一匹が死んだのだろう。 それでも彼らは手を止めることはしなかった。 命を救ってやりたいという崇高な目的は鼻っから無く、彼らを突き動かすのはただの好奇心。 「死んだ!」「死んだな!」と少年達は顔を見合せてケラケラと笑った。 まむ穴から定規を真下に引きおろして傷口を広げる。 躊躇もせず傷の両へりに手をかけると、一気にまりさの皮を捲りあげた。 「ひゅ!」 「ゆ゛ーゆ゛ー」 「ゆ゛っ」 中にいたのは一般的な赤ゆっくりよりも小さなゆっくり達。 それも少年達が想像していたよりも多かった。「喋れない」物も幾つかいたからである。 顔にあるのは目と髪だけ。ひたすら辺りをキョロキョロ見回しているゆっくり。 歯の生えていないあどけない口で「ひゅー」と言い続けるゆっくり。 はたまた目も口も無く、ぶるぶる震えながら何かを主張しようとしているゆっくり。 傍目から見れば奇形のゆっくりだったが、それも無理はない。 母体のまりさの腹は、外から見ただけでは妊娠していると判別できない状態だった。 おそらくは妊娠初期。まだ交尾してから数日しか経っていないのだろう。 その段階ではお腹のゆっくりはまだ小さく、生物としても未熟である。 人間の赤ん坊とて、初期の段階ではとても可愛らしいとは言えない姿だ。 「キモ…」 これを見て、少年達のモチベーションは一瞬下がった。 それもつかの間、解剖を終えた彼らは次の遊びを始めることにしたのだ。 「駆除」 まるで害虫のような"気持ち悪い"ゆっくりを、この手で殺すんだ、と心に決めたのだった。 それが今の彼らの正義であって、最高の楽しみ方であった。 幼い少年達は本来相反するこの二つを混同し、正しいことをする酔いしれながら「面白そうなこと」を手当たり次第にやり始めた。 まず彼等が標的に定めたのは"目だけ"ゆっくり。 理由は簡単である。一番気色悪いからだ。最も悪者に見える。 赤ゆっくり達は突然の外界の光・空気に惑い、混乱していた。 だからこそ捕まえるのは簡単だった。 "目だけ"赤ゆっくりに降り降ろされる定規。 平たい面では無く、縦に押しつけられた定規は赤ゆっくりの体を突き進み、地面にぶつかった。 「…!」 口の無い赤ゆっくりは喋れないため、痛みによる悲鳴すらあげなかったものの、目が口以上にその心中を語っていた。 痛みの源を両目で探すようにグルグル回していた赤ゆっくりだったが、すぐに視線は一方向に定まった。 自分の体のど真ん中である。 両目ともに中心を見ようとするので酷く寄り目。 目の前で自分を「分断」している定規を見つけた赤ゆっくりは、物言わずにその目から涙を流し始めた。 少年は手を伸ばし、べたりと張り付いている赤ゆっくりの片側を引き剥がした。 面白いもので、こうして等分されたゆっくりはしばらく生きられるようなのである。 定規の先に残された赤ゆっくりは片目で、もう片側を追いながら泣き腫らし、 一方、摘まれた側はプラスチック定規に貼りついた自分の断面図を見せつけられ、涙すら出てこなくなる程にショックを受けたようだ。 人間からすればただの饅頭なのだが、ゆっくり達の意識では内臓を目の当たりにするに等しいのだろう。 違った反応を見せる二つの目を見比べて、面白そうにしていた少年だったが、 死体まりさの方が何やら騒がしいのを聞きつけると、定規に付着した物諸共投げ捨てた。 草むらに投げ捨てられた赤ゆっくりは、土ぼこりや草の葉が容赦なく傷口に直に侵入してくるようで痛みにのたうっていたが、 すぐに息を引き取った。 お母さんまりさの切り開かれた胎内。 そこでは命からがらの脱出劇が繰り広げられていた。 先ほどの惨状を目の当たりにしたゆっくり達はせっせとお母さんまりさの胎内から飛び出し、顔面を這って母体から脱出。 自分たちを脅かす存在から離れるように、外へ外へと逃げ出していく。 それを掴まえるのは少年達。 文房具セットから取り出したコンパスやカッターを、わざとらしく地面に投げつける。 それは赤ゆっくりの頭に上手く当たり、体の中を貫通して彼女達を地に押さえつけた。 コンパスで頭頂部から貫かれたゆっくりは「何で動けないの?」とでも言いたげに底部を震わせるが、それが余計に痛みを呼ぶ。 「ゆきぃぃいぃい!!」 甲高い声で泣き散らしながら小さい身をのけぞらせ、震わせ、自分を抑える物から逃れようとするが、 それまた一層己の体を傷つける結果になる。 元々の傷はコンパスの太さよりもどんどん外へと押し広げられ、ドーナツ状になった赤ゆっくりは絶命した。 図らずも、少年は最初の一撃以外は手を下さずして一匹を殺すことが出来た。 わざわざ手を加えなかったのは、見ているだけで面白かったからだ。 最期の方など、コンパスを中心にグルグル回りながら、口や傷口から餡を盛大にまき散らして自ら逝ったのだから。 対して、カッターに射とめられた赤ゆっくりはすぐに拘束から解かれた。 もちろん、たまたま体が柔らかったためにカッターの刃が後頭部を切り裂いただけの話である。 後ろが開いたままでまともに這い進めるはずも無く、すぐに恐れよりも痛みが勝ってのたうち回り始めた。 激痛を堪えるのに必死で、もう何から逃げていたのかすら覚えていないだろう。 そして、もう覚えている必要はない。 恐れるべき相手はニヤニヤと赤ゆっくりの死に様を観察しているだけなのだから。 「ひゅっゆひしぇじぇぎぇ!!」 流石はゆっくりと言ったところか。 歯のない口で「ゆっくりしていってね!!」と叫びながら転がる。 母親から受け継がれたの餡子に最も強く刻みつけられている言葉だからだろうか。 それを始めとして、既に理性と呼べるものは消し飛んでしまっているようで、挙動すらもおかしい。 何か信号が送り込まれたロボットのように同じ行動を繰り返しているのだ。 ひたすら伸び縮みを繰り返し、その内に後頭部からの餡子流出で、力なく顔面から地に崩れ落ちた。 少年達がその二匹を観察している最中に、速いものは2・3メートル離れた所を這っていた。 とはいえ、流石に生まれるはずが無かった状態で運動するのは辛いらしく、その辺りですっかり疲れ果ててしまったようであった。 2・3メートルは赤ゆっくりにとっては遥かな距離かもしれないが、人間にとっては数歩の範囲内である。 後頭部の傷口を露わにして突っ伏す赤ゆっくりを放置し、少年は数歩で息を切らしている赤ゆっくりの元へとたどり着く。 後ろから迫る影。 怯えた赤ゆっくりが恐る恐る上を見上げると、そこには案の定少年がいた。 ひょいと軽く持ち上げられ、底部に何かを貼り付けられる。そして静かに地面に置かれた赤ゆっくり。 予想外の出来事に一時は取り乱しながらも、再び前に進み始める。 とにかく今は逃げなくてはいけない、という命令が赤ゆっくりの頭を支配している。 何故助けてもらえたのか考える余裕などは、彼女の小さな頭には与えられていないのだ。 もちろん、助けてもらえたと言うのは間違いで、赤ゆっくりの底部は機能しなくなっていた。 正確には貼り付けられたセロハンテープで一時的に機能を失っていたのである。 底部を突っ張り、移動を試みようとするが、つるつる滑ってしまい動けない。 まだ跳ねることを満足にできない赤ゆっくりにとって、唯一の移動手段は這うことのみである。 ゆっくりが這うメカニズムは判明していないが、底部の摩擦をなんらかの形で利用しているのは確かである。 よってセロハンテープで底部の引っかかりを奪ってしまえば、いとも簡単に動けなくさせることが出来るのである。 不自由ながらもちゃんと動かせているはずなのに。 訳も分からずゆんゆんと泣きべそをかき始める赤ゆっくり。 逃げなくちゃいけないのに。 再度少年が赤ゆっくりを取り上げる。 今度は乱暴に摘まれ、赤ゆっくりはぶぴゅっ!と口から餡子の飛沫を吐きだした。 そのまま少年は底部を手前に向け、爪を立て始める。 何をしようとしているのかはもう一人にとっても明白だった。 知らないのは本人だけ。 「ゆぎゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!??」 脆い。 ただでさえ未熟な体を酷使して数メートル這った後のあんよである。 セロハンテープを貼られ、一気に引き剥がされることで、あんよはびりっと破けてしまった。 今はあんよの代わりに歪な形の傷口が赤ゆっくりの底部に広がっているだけ。 ボタリと餡が垂れ始めたのを見て、少年はすぐに赤ゆっくりを地面に置いた。 こうすることでしばらく楽しめる。 傷口から餡が出きってしまうのは面白くない。 痛みにゆーゆー泣きながら死んでいくのが面白い。 四匹の赤ゆっくりの命を奪った末、彼らはそんなことまで考えるようになっていた。 遊びに変化を求めていたのだ。今まではあっさり殺し過ぎた。 「ゆ゛ー!! ゆ゛ゆ゛っー!!! ゆ゛ぅ゛ぅ゛!! 」 少年達の思惑通りに、赤ゆっくりは餡子が体から出て行かずに苦しんでいた。 体内に残った餡子は体であり、しっかりと感覚を持っているらしい。 臓物を直接痛めつけられているような感覚か。 ならばいっそのこと一瞬の痛みに耐えてでも切り離して欲しいと思うことだろう。 しかし、彼らはそれを許さない。 痛みから逃れようと、横転しようとする赤ゆっくり。 そうすれば確実に死期は近付く。それでも今は生きたいという意志よりも反射が勝る。 そこに少年達の手が伸び、赤ゆっくりの体をギュッと地面に押さえつける。 カッと目を見開き、赤ゆっくりは叫んだ。 渾身の叫びだった。 それでも声帯のしっかりしていないか細い声では、少年達を驚かせるには至らなかった。 赤ゆっくりは泣いていた。黒い涙だった。 餡が路面の砂利やら何やらに直に触れ、酷く痛む。炎症のような体を巡る痛み。 体が熱を帯び、うなされたように苦しむ赤ゆっくり。 相変わらず目からは黒い涙を流し、目はうっすらと黒ずんでいた。充血の餡子バージョンだろう。 ゆっくりの死に方で最も多い吐餡さえ、新たなセロテープによって阻止。延命措置は完ぺきだった。 生えかけの歯を口内でギリギリと噛み鳴らすようにしながら、赤ゆっくりは恨めしそうに天を睨んだ。 少年達には大して怒っているように見えなかっただろうが、確かにその時赤ゆっくりの心の中に憎しみが沸いた。 どうしてこんなことになっているのだろう。 お母さんとゆっくりしたかったよ。 赤ゆっくりは苦しみ抜いて、最も不幸な死を遂げた。 それは少年達にとってはいささか派手さが足りなかったかもしれないが、残酷な死であった。 体内に残っていた餡はパサリと砂のにようにこぼれ落ち、肌の袋が皺くちゃになってその上に覆いかぶさった。 ストレス死。 ゆっくり出来なくなって、体が自ら死を選ぶ。 ゆっくりであることを放棄して、食べ物であることも放棄して。 産まれたばかりの赤ゆっくりには惨過ぎる仕打ちだった。 もはや死んでしまったのだからそれに何の意味も無いが。 逃げ出し始めたものは死に絶え、残ったのはお母さんまりさの周辺でまだウロウロしている目なしゆっくり。 目がなく、増してや中には髪すら無いものまでいる。 そうすればもはやただの饅頭。 最後の締めに、粛々と残りを片づけることにした少年達。 それもそのはず。口が無ければ目もないのでは、面白い反応が得られるはずもなく、遣り甲斐も無い。 せめてシャーペンの先で突いて震えるのを楽しむことにしたのだが、これすらも赤ゆっくりの側からすれば堪らない恐怖。 「…!」 「っ゛……!」 何処からやって来るか見えないという状態でチクリチクリと痛みを与えられるのは、想像以上に精神にクる。 どのタイミングで、どの場所を、どの位の強さで? 少しばかり頭の働く赤ゆっくり達は、それを無意識的に考えてしまい、次第に弱っていく。 ちょっとした痛みが激痛のように感じられ、 目の出来あがるはずの場所を刺された時など地面に激しく身を打ちつけて悶えた。 逃げ出そうにも方向すら分からない真っ暗闇なので、逃げだせない。 それでも生きることに執着し、思った方向に這い始める者もいた。 もちろんその速度は遅く、方向も出鱈目。すぐに後ろからシャーペンの攻撃を受けて転倒する。 丸い饅頭が必死に体を捻って逃げているのを見守っているだけで、少年達は満たされた。 案外これも面白いかもしれない。 対して恐怖で動けなくなってしまった者もいた。 これは手を下さずとも勝手に自滅していくパターンだと少年達は悟った。 シャーペンにビクビクするあまり、ちょっとした風や砂埃だけで大きく体を震わせるのである。 放っておくだけでも鑑賞に値する玩具だった。 全てが全て、ストレス死に至るまで遊びは続けられた。 目なし口なしでは吐餡死はあり得ないからである。 最期は、皆が皆コロリと転がって動かなくなるという地味なものだったが、少年達は満足していた。 空を見ればすっかり夕暮れ。 帰ったら母親のお叱りを受けるだろうと肩をすくめ、彼らは銘々の家の方角へと帰っていった。 寒い寒い。 今夜は冷え込みそうだ。 一刻も早く家に帰って炬燵で温まろう。 夜。 ゴソゴソとお母さんまりさの髪が蠢く。 「ゆっ」 一匹の赤ゆっくりだった。 髪色からしてお母さんと同じゆっくりまりさ。 「ゆゆっ」 今まで兄弟が悲惨な目に合わされていたのにも関わらず、ずっと母親の髪に身を隠していたのである。 だからといって、彼女がゲスなゆっくりであるという結論にはならない。 自分の非力さを自覚し、自分の命を守るための最善の行動をする。 生物として至極当たり前のことであり、未熟な赤ゆっくりとしてはとても懸命な判断だった。 他の兄弟が散り散りに逃げていく中、一匹だけあえてお母さんまりさの傍に残ったのも正解だった。 少年達の視線は多数の方に流れたからだ。 母親と離れたくなかったという気持ちもあるだろうが、それだけではないだろう。 賢い赤まりさだった。 赤まりさは意識的にか、それとも本能的にか、お母さんまりさに身をすり寄せ始めた。 腹を裂かれて見るも無残な姿のお母さんまりさ。 それでもまだほっぺたが無事だと分かると、天の方向を向いたその顔に、自分の顔をしきりに押しつけ始めた。 「おかあしゃん ゆっくち ゆっくち ゆっくちしようよ」 実に聡明な赤まりさだったが、それが赤まりさの最期の言葉となった。 【過去作品】 ふたば系ゆっくりいじめ 214 ルームランナー